伊東勤氏 大谷は前回登板の直球勝負から一転して変化球主体 効率重視の巧みな投球術

[ 2023年6月29日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス4-2ホワイトソックス ( 2023年6月27日    アナハイム )

<エンゼルス・ホワイトソックス>西日が差し込む中、好投する大谷(撮影・沢田 明徳)
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 【伊東勤氏 視点】大谷がマウンドでまた違う顔を見せてくれた。前回登板のドジャース戦は直球中心で、強力打線をねじ伏せたが、一転して変化球主体の巧妙な投球で効率よくアウトを取った。

 初回1死、アンダーソンには2―2から直球で2球ファウルを打たせ、最後はスプリットで空振り三振。続くロベルトはスライダーとスプリットで追い込み5球目のスプリットで空振り三振。振り回す傾向の相手の中軸を、最近投げることが少なかった精度のいい落ちる球で料理した。いつ爪が割れたかは定かではないが4回からはカーブで目先も変えた。明らかに力をセーブしてイニングを稼ぐ投球に徹していたが6回2死一、二塁では、ギアを上げる。ロベルトを159キロ直球で追い込み5球目のスプリットで空振り三振。相手の傾向、試合展開、投げている球の質など全てを勘案し試合をつくる。他の投手とは引き出しの数が違う。

 打撃の進化も止まらない。1本目はパワー、2本目は技術で打った一発。2本目の前、相手バッテリーは入念な打ち合わせをしていた。おそらく「一発だけは避けよう」という話だろうが、3球目、バッテリーのイメージ通りの外角低めのスプリットを最後は右手一本で左中間に運んだ。私の野球人生であの高さ、あのコースをバットから手を離し逆方向のスタンドに運んだ打者は見たことがない。

 爪の状態が気になるが、この投球を続ければ勝ち星はついてくる。投打でどこまで数字が伸びるのか…。ちょっと想像がつかない。

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