広島・田中広輔　再起に燃える1年「数字も大事だが、そうじゃないところも…」背中でも“家族”支える

9日の巨人戦で本塁打を放ち、菊地らナインに迎えられる田中（中央）
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　広島・田中はプレーだけではなく、背中でもチームを引っ張っている。2016～18年のリーグ3連覇の黄金期には遊撃のレギュラーとして貢献したベテランは近年、不振に加えて若手の台頭もあり、出場機会が減っている。それでも前だけを見据えている。

　「結果ももちろん、全体的な数字も大事ですけど、そうじゃないところも大事なんだよというのを見て感じてくれたら」

　2月の春季キャンプから、その思いが垣間見えた。全体練習後の特守ではサブグラウンドで菊池、小園らとともにノックを受け、同じポジションを争うライバルの小園にも積極的に助言を送る光景が見られた。18年には遊撃でゴールデングラブ賞の受賞経験がある名手からの助言に小園も「いつも声をかけてくれるので、ありがたい」と感謝。開幕戦前日の守備練習でも飛球を見失った小園に田中は「見失っても、絶対諦めるな」という言葉をかけるなど、若手の“教育”にも目を向けている。

　チームを“家族”と称する新井監督のもとで、一丸となって成長していきたいという表れのように感じた。だからといって、若手に譲ってばかりではいられない。自身も再起に燃えている。6日の阪神戦では21年6月2日の日本ハム戦（マツダ）以来、673日ぶりに遊撃で先発出場を果たすと、9日の巨人戦では4回に貴重な追加点となる1号ソロを放った。21年9月2日のDeNA戦以来、実に584日ぶりの一撃で勝利に貢献し、笑顔を見せた。

　「やっぱり（本塁打は）気持ちいいですよね。ファンの皆さんの声援はすごく力になります」

　久々のお立ち台ではファンの歓声を浴び、喜びをかみしめた。まだシーズンは始まったばかり。田中の逆襲はここから始まる。
（記者コラム・長谷川　凡記）