鳥越裕介氏 解説者になって感じた「言葉を選ぶ大切さ」 ソフトB・柳田インタビューでは失敗談も

[ 2023年4月11日 08:00 ]

ソフトバンクキャンプに訪れた鳥越氏(撮影・岡田 丈靖)
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 【鳥越裕介のかぼす論】ソフトバンクとロッテで2軍監督などを務めた鳥越裕介氏(51)が、コラム「かぼす論」を毎月第2火曜日にスポニチ西部版で新連載。大分県臼杵市出身の名コーチが、特産品のように野球を面白く“風味づけ”する。

 5年ぶりに福岡に戻ってきた。ロッテのコーチとして東京には5年間、居たけど、ユニホーム着る仕事がなけれは、故郷の大分に帰ろうかと思っていた。ただ、ゆくゆくはまた住むんだろうという思いもあって福岡の自宅は空けていた。もう一度、自分のペースに戻したいと思ったのが一番の理由だった。

 最初、野球解説者としてのスケジュールはガラガラだった。毎日、これでいいのかと思いながら暮らしていた。2月はCS放送と契約し、とにかく、キャンプ中継を見ていた。5年間、離れていたので選手も知らないし、福岡で仕事をすると決めた以上、ちゃんと見ておかないといけない。ただ、正直、テレビをつけながらもだらだらしていた。毎日が休み。どこまでもなまけられる環境だった。どうしていいのか、本当に分からなかった。

 初仕事は2月、宮崎キャンプでの小久保2軍監督へのインタビュー。結構、緊張した。自分も2軍監督を経験していたし、聞く側としてちゃんとしなきゃいけない。とはいえ悪い俺もいて、一緒に酒飲んでいる時みたいに、いじりたくなる瞬間もあった。いかんいかん(笑い)。2軍監督やと思い直した。

 小久保2軍監督もそうだし、内川聖一もだけど、解説者なんて自分に自信がないとしゃべれないと感じた。そういう意味では俺って、全然、自分に自信がない。だから言葉は選ぶようにしている。これまでと立ち位置は反対になったから、反対に聞かれている自分をイメージしている。こう聞かれたら嫌だなとか、そういう感覚は持つようにしている。

 やってしまったこともあった。柳田主将へのインタビューだ。俺は酒も飲むし、少しむくむかなと思うから当日、家を出る前に30~40分間、風呂につかった。それがまずかった。毛穴が開くから、話を聞いている最中でも、汗が噴き出してくる。この3月一番、勉強になったことかな。

 テレビの生放送はかんだら終わりのトーナメント。コラムの方が間違っても消しゴムで消せるから、そういう意味ではありがたい。内川や柳田の自主トレを手伝っていた1月、仕事がなくても「フリーランス」とうそぶいていたが、最初は真っ白だったスケジュールも少しずつ、埋まってきた。いろんな人が声を掛けてくれ、本当にありがたい思いだった。やっぱり人なんだと改めて思う。

 このコラムを提案してくれたスポニチの福浦部長、本当にありがとう。皆さん、どうぞよろしくお願いします。 (野球解説者)

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2023年4月11日のニュース