伊東勤氏 エンゼルス・大谷の3号に見た読みと技術 第1打席で雄星スライダーへの対応イメージ

[ 2023年4月11日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス11ー12ブルージェイズ ( 2023年4月9日    アナハイム )

<エンゼルス・ブルージェイズ>3回、2ランを放つ大谷(投手・菊池)(撮影・会津 智海)
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 【伊東勤 視点】大谷のホームランは読みと技術が詰まった一撃だった。菊池の初球は外を狙った直球が内角高めに抜けボールになった。これで大谷は内角に入ってくる直球を消し、スライダー一本に絞ったはずだ。2球目は読み通り内角に入ってくるスライダー。これを強振。タイミングは合っていたが多少引っ張りの意識があって一塁側へのファウルになった。3球目は外角のストライクからボールになるスライダー。この見逃し方が良かった。2球目と同じように引っ張りを意識していたらスイングしていたはず。そこを踏みとどまった。

 第1打席で菊池は3球スライダーを投げている。この打席でのスライダー2球を見て、大谷の頭にはスライダーの曲がりの軌道がイメージできていたと思う。そこに2球目と同じコースのスライダーが入ってきた。引っ張りの意識を捨てている大谷は体が開かないようにバットを内側から出して左中間に持っていった。相当押し込みが強くないとあそこまでは飛んでいかない。その技術は一級品だ。

 もう一つ大谷の凄いところは同じコース、同じ球種を1打席の中で修正し打ち分けることができること。他の打者とは対応力のレベルが違う。菊池から打った過去2本のホームランも左中間方向。菊池攻略のイメージもできているのだと思う。

 打たれた菊池も悪くはなかった。初回チェンジのはずが不運な形で失点。リズムを崩し次の打者にもホームランを浴びた。ただ昨年までと違いフォームに力みもなく制球も安定している。次回以降も期待できると思う。(スポニチ本紙評論家)

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2023年4月11日のニュース