オリ・中嶋監督「これが日本シリーズなのかね」 勝ち切れず12回制最長5時間3分ドローも次戦に闘志

[ 2022年10月24日 05:00 ]

SMBC日本シリーズ2022第2戦   オリックス3-3ヤクルト ( 2022年10月23日    神宮 )

<ヤ・オ>12回引き分けに終わりハイタッチするオリックスナイン(撮影・沢田 明徳)
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 「SMBC日本シリーズ2022」は23日の第2戦でオリックスが延長12回制では史上最長5時間3分の激闘の末にヤクルトと引き分けた。中嶋聡監督(53)が山崎福也投手(30)の先発起用や打線組み替えなど巧みな用兵で優位に進めながら、9回に3点差を追い付かれた。1敗1分けとなり、25日の第3戦から舞台は本拠地・京セラドームへ。連夜の激戦で昨年シリーズに続く名勝負の予感が高まってきた。

 勝ち切りたかった一戦であり、耐えてしのいだ一戦とも取れた。両軍計16投手、野手を合わせて計44選手が出場した5時間3分。中嶋監督は激闘を楽しんだかのように勝負師の顔をのぞかせた。

 「(試合後の)囲み取材のことすら忘れとったわ。まあ、これが日本シリーズなのかね」

 五分には戻せなかったが、随所で「中嶋マジック」が光ったのは確かだ。宮城でも田嶋でもなく、9月20日を最後に1軍登板がなかった山崎福を先発で送り出した。明大時代の神宮経験と日大三3年春の選抜で大会タイ記録の13安打が残る打力を根拠に登用。先制打と4回零封を引き出した。

 継投にも迷いはなかった。4回まで被安打4の山崎福を代え、5回からブルペン陣を惜しみなく投入した。山崎颯は2回1安打無失点。6回先頭では村上を外角低め154キロで見逃し三振に斬った。7回は宇田川、8回はワゲスパックが無失点に封じた。

 打線の組み替えも奏功した。1番に起用した安達は5回に二塁打を放って2死一、三塁の好機をつくり、杉本の三塁内野安打で3点目をもぎ取った。

 正捕手だった96年以来の頂点へ。当時監督だった故仰木彬さんの遺伝子を色濃く受け継ぐ。「周りはそう言うけどな、俺にとってはマジックでも何でもないよ」。対戦相手との相性や成績、自軍の投打の資料を穴があくほど見つめてきた。データに直感を加えた恩師譲りの采配だった。

 3―0の9回を連投で託した阿部が無死一、二塁から代打・内山壮に痛恨の同点被弾。「次にまたやり返すことを期待しますし、その切り替え。そこだけは大事に。このままでは終われないと思います」。誤算を責めず、屈辱を糧にする気概を求めた。

 延長戦は好機で決定打を欠いた。12回2死二塁では暴投を突いて二塁走者の佐野皓が一気に本塁へ。ベンチに入ってボールデッドになったことで三塁に戻された。まさに紙一重。指揮官が両手を広げて猛アピールしたのは勝利への執念だった。25日の第3戦からは本拠・京セラドーム大阪へ舞台が移る。「もう一回やっていきます」。巻き返しへ、闘志は消えていない。(湯澤 涼)

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2022年10月24日のニュース