ヤクルト・内山壮 9回代打で起死回生同点3ラン!史上最年少日本S初打席本塁打

[ 2022年10月24日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2022第2戦   ヤクルト3―3オリックス ( 2022年10月23日    神宮 )

<ヤ・オ>9回、3ランを放ちガッツポーズする内山壮(撮影・光山 貴大)
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 シリーズ史上2番目に長い5時間3分のドロー。日本シリーズ第2戦は23日、ヤクルトが3点を追う9回、代打・内山壮真捕手(20)の起死回生の左越え同点3ランなど延長12回、3―3で引き分け。対戦成績を1勝1分けとした。代打でのシリーズ初打席初本塁打は史上5人目、20歳3カ月の初打席初本塁打は史上最年少。引き分けは18年の広島―ソフトバンク第1戦以来4年ぶり9度目だった。第3戦は25日、京セラドームで行われる。

 2球で追い込まれた。3球目はファウル。そこからが内山壮の真骨頂だった。スプリット2球を平然と見逃し2―2。6球目、高めに来た141キロ直球を完璧に捉えた。左翼席への3ラン。3点を追う9回に生まれた起死回生の同点弾に高津監督も、村上も、ベンチに戻ってきた20歳の若武者の頭を、興奮気味にバシバシ叩いた。

 「打った瞬間に感触も凄く良かったので、行ってくれ、スタンドまで届いてくれと。いい場面で打てて凄いうれしいです」

 高卒2年目の捕手。日本シリーズ初出場は、0―3と後がない9回無死一、二塁だった。今季は代打で27打数8安打の打率・296をマーク。5月24日の日本ハム戦でのプロ1号も代打弾だった。「凄いと思いました。(内山)壮真は配球を読みながら、打席に立ったりする。思い切りも凄くいい」と高津監督。捕手だからこその配球を読む力で、代打成績を残してきた若武者の起用がドンピシャで当たり、目を細めた。

 シーズン終盤に青木からもらったバットで試合を振り出しに戻す一発だった。代打で日本シリーズ初打席本塁打は史上5人目。20歳3カ月での日本シリーズ本塁打は、昨年21歳9カ月でマークした村上を超える球団最年少でもあった。

 大一番で真価を発揮した精神と肉体は空手で培った。空手の全国大会優勝経験を持つ父・彰博さん(49)の影響で、3歳から小5の春まで習った。1年のときに富山県大会に出場。当時は出場できる1年の部がなく、3年の部に出場し、父譲りの才能を発揮して優勝した。翌年から1、2年の部が新設されるきっかけになり、自身は小2で早くも黒帯を取得。彰博さんも「早くても3、4年生。そんな子はなかなかいない」とひいき目なしに実力を認めるほどだ。

 試合は延長12回を戦って引き分け。「今日みたいに大事な場面で任されたときは、チームに貢献できるように自分の仕事ができれば」と謙虚に語った内山壮。勝てなかったが、価値あるドローだった。(青森 正宣)

 ◇内山 壮真(うちやま・そうま)2002年(平14)6月30日生まれ、富山県出身の20歳。宮川小3年から野球を始める。星稜中では2年夏、3年春に全国大会優勝を経験し、U15日本代表にも選出。星稜では1年春から遊撃手のレギュラーとしてベンチ入りし、2年秋から捕手に転向。1年夏から3季連続甲子園出場を果たし、3年夏の交流試合にも出場した。高校通算34本塁打。20年ドラフト3位でヤクルト入団。21年4月8日の広島戦で1軍初出場。昨季はフレッシュ球宴で先制アーチを放ちMVPに輝いた。1メートル71、71キロ。右投げ右打ち。

 ≪20歳3カ月 今江抜き≫20歳3カ月の内山壮(ヤ)が9回代打で初打席本塁打。シリーズ代打本塁打は31人、33本目。初打席本塁打は16人目だが、代打初打席弾は昨年第1戦のモヤ(オ)以来5人目。チームでは95年第1戦の大野雄次以来27年ぶり2人目だ。なお、初打席本塁打の年齢は05年第1戦今江敏晃(ロ)の22歳1カ月を抜く最年少。ヤクルトのシリーズ本塁打としては、昨年第1、5戦で村上がマークした21歳9カ月を更新するこちらも最年少記録となった。

 ≪8度目延長引き分け≫ヤクルトは9回裏に3点差を追いつき引き分け。シリーズの引き分けは18年第1戦の広島2―2ソフトバンク(12回)以来9度目で延長引き分けは8度目になる。ヤクルトの延長戦は昨年第6戦まで9度あったが引き分けは初。また、9回表までビハインドで延長引き分けに持ち込んだのは86年第1戦の広島2―2西武(14回)で広島が9回裏に0―2から追いついて以来36年ぶり2度目。3点ビハインドからはヤクルトが初めてだ。なお、試合時間5時間3分は10年第6戦の中日―ロッテ(15回)に次ぐシリーズ史上2番目の長時間試合になった。

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