中村武志氏 西武ドラ1・隅田は15勝できる!速球と多彩な変化球併せ持つ“二投流”

[ 2022年3月13日 05:30 ]

オープン戦   西武3―4ロッテ ( 2022年3月12日    ZOZOマリン )

<ロ・西>帽子を飛ばして力投する先発の隅田(撮影・光山 貴大)
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 【中村武志 視点】初めて見たが、正直驚いた。左腕の新人では昨年の楽天・早川も良かったが、隅田は輪をかけていい。直球が速い本格派であり、多彩な変化球を投げる技巧派でもある。剛と柔。言うなれば「二投流」のピッチャーだ。

 捕手の立場でリードしやすい投手は、(1)コントロールがいい(2)直球が速い(3)球種が豊富(4)緩急をつけられる(5)不利なカウントから変化球でストライクが取れる――などがあるが、隅田は全てを持っている。カウント球にも決め球にもなる変化球が1つあれば5勝、2つあれば10勝、3つあれば15勝できる。隅田はチェンジアップ、カーブ、スライダーの精度が高いから、単純計算なら15勝できる。

 投げる以外も全部できる。走者を背負ったセットポジションでは、けん制やクイックモーションはもちろん、球を長く持って投げたり、素早く投げたりして走者をくぎ付けにするから盗塁を2度防いだ。落ち着いたマウンドさばきで、制球もいい。例えば長打力のある打者を歩かせても併殺で切り抜けられる。

 この日は調子が悪かったと思う。直球が高めに浮く場面もあり、逆球もあった。スプリットも落ちが悪く、8安打を許した。それでも、6回を3失点で先発の役目を果たした。勝てる投手である。

 課題を挙げれば、ストライクが先行しすぎる投球だ。ストライクばかり投げると、打者に狙われる。ボール球をいかに上手に使うか。100球なら意識して10球、1割くらいはボール球を投げて、的を絞らせないこと。新人はストライクを取ることも大変だが、このハイレベルな注文が隅田への期待の裏返しだ。

 西武は打線が強力だから、15勝は可能だ。捕手はリードしていて楽しいだろうし、私が現役なら受けたい。(スポニチ本紙評論家)

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2022年3月13日のニュース