花巻東・佐々木監督の長男・麟太郎 1年秋でもう47号!清宮、大谷さえかすむ新怪物

[ 2021年10月22日 05:30 ]

秋季高校野球東北大会2回戦   花巻東11―1東日本国際大昌平 ( 2021年10月21日    石巻市民 )

<花巻東・東日本国際大昌平>4回2死二塁から2ランを放った佐々木麟(左)=撮影・川島 毅洋
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 来春センバツの重要な選考資料となる秋季高校野球東北大会は21日、宮城県の石巻市民球場などで2回戦6試合が行われ、8強が出そろった。花巻東(岩手)は東日本国際大昌平(福島)に6回コールド勝ち。佐々木洋監督の長男・麟太郎内野手(1年)は高校通算47号本塁打を放つなど2安打を放った。「平成の怪物」と称された西武・松坂大輔が現役を引退する年に「令和の新怪物」が驚異的なペースで本塁打を量産している。

 甲子園名物の浜風は、左打者泣かせ。ライトからレフトに吹くため、本塁打が出にくいからだ。この日の石巻市民球場も、同じような強風が吹いていた。

 3―0の4回2死二塁。3番に座る佐々木洋監督の長男・麟太郎が左打席に入った。4球目、高め直球を捉えた打球は逆方向の左中間席に飛び込んだ。「ホームランは意識していなかった。いい形で点数が取れて良かったです」と振り返った。

 先発オーダーに左打者が7人並ぶ中、佐々木監督は風向きを考慮して「ライトポールがバックスクリーンにあるつもりで。あそこに引っ張れ」とアドバイスを送った。麟太郎は「(バックスクリーン上の)旗を見ながら対応しようと思った」と狙い通りに逆方向に打った。秋の岩手県大会決勝前には練習中に右手薬指を骨折するアクシデントもあったが、佐々木監督は「逆に力を入れずに打つヒントになったと思う」と思わぬ効果を口にした。

 入学からわずか半年で早くも高校通算47号。OBで同じ左打者であるエンゼルス・大谷が高校時代に放った56本がすでに射程圏だ。歴代最多とされる111本塁打を放った早実時代の清宮(現日本ハム)は1年時は22本。試合数や球場、相手投手など条件は異なるとはいえ驚異的なペースで量産を続けている。

 幼少時から親交のあるOBの菊池(マリナーズ)からは入学前に「ホームランは高校生で一番を目指せ」と言われた。引っ張るだけではなく逆方向にも飛ばす力があるだけに記録更新の夢は膨らむ。視察した西武・水沢英樹スカウトも「センターから逆方向に打ったのは、何回も見ている」と驚かなかった。

 今夏の岩手大会は決勝で敗れ甲子園出場はならなかった。麟太郎は「優勝してセンバツを勝ち取るんだという気持ち。先輩方は岩手に感動を与え、それを見て自分も(花巻東に)入った」と力を込める。23日の準々決勝の相手は優勝候補の仙台育英。舞台は再び石巻市民球場だ。「次の試合もチームのため、岩手のために頑張りたい」。体重117キロの巨体には、でっかい夢が詰まっている。(川島 毅洋)

 <東日本国際大昌平 エース鈴木「簡単に持っていかれてしまいました」と脱帽>先発したエース右腕の鈴木飛呂夢(2年)は3回まで無失点と踏ん張ったが、4回に崩れた。佐々木麟の一発は「外角高めの球です。甘いコースに入って簡単に持っていかれてしまいました」と脱帽した。伊藤博康監督は「風があるのはうちも同じ状況。花巻東はハツラツとしていた。そういう部分の差かなと思う」と悔やんだ。

 【佐々木麟太郎(ささき・りんたろう)】

 ☆生まれ、サイズ 2005年(平17)4月18日生まれ、岩手県出身の16歳。1メートル83、117キロ。右投げ左打ち。

 ☆名前の由来 社会科教諭の佐々木洋監督が好きな勝海舟の幼名から。

 ☆球歴 幼少時から「江釣子スポーツ少年団」で野球を始め、江釣子中では大谷(エンゼルス)の父・徹さんが監督を務める金ケ崎リトルシニアに所属。

 ☆進路は迷わず 中学では父に「花巻東じゃなかったら野球をやめる」と覚悟を伝え進学を決断。「父が監督だからではなくて、小さい頃から花巻東の野球を見てきたので」。入学後は1年春からベンチ入り。

 ☆打撃フォーム メジャー歴代トップの762本塁打を放ったバリー・ボンズを参考に「中学3年生くらいから。動画を見て試して、自分にはこれが合っていると思った」。

 ▽早実・清宮(現日本ハム)の高校通算47号 16年5月29日、松商学園との招待試合で記録。長野県松本市の四賀運動広場でダブルヘッダーが行われ、第1試合でいずれも右中間場外へ2発。これで通算46号とし、第2試合の5回に右中間場外の駐車場へ打ち込む140メートル弾。通算47号に「軽く打っただけでも飛ぶ。着実に力は付いている」とコメントした。

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