ヤクルト・奥川、令和の精密機械!41回2/3連続無四球で巨人斬り7勝「優勝に貢献できるように」

[ 2021年9月18日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト8―2巨人 ( 2021年9月17日    東京D )

<巨・ヤ>7回無死、亀井を三振に打ち取る奥川(撮影・篠原 岳夫)
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 2位のヤクルトは17日、ゲーム差なしで3位だった巨人戦で大勝。チームにとって10連戦の初戦で先発した奥川恭伸投手(20)はプロ最多103球で7回5安打1失点に抑え、球団では90年の川崎憲次郎以来、31年ぶりに高卒2年目以内での7勝目を挙げた。これで6試合連続無四球となり、ストライク率は驚異の70・4%。試合がなかった首位・阪神とのゲーム差を2に縮めた。

 非凡な才能を示したのは6回だ。相手は2番からの好打順。奥川は大きく息を吐いた。眼光が鋭くなる。ギアを入れ直し簡単に3者凡退。堂々と胸を張って三塁ベンチに戻った。

 「元々、四球が少ないのが僕の持ち味。(ストライク)ゾーンの中でしっかり勝負するようにしている」

 対峙(たいじ)したのは松原、坂本、岡本和。いずれも初球ストライクを奪い、投手有利のカウントに持ち込んだ。だから一発が出やすい東京ドームでも臆することなく攻められる。左飛、中飛、空振り三振。要所を把握し抑える。高卒2年目の20歳とは思えない。

 体力づくりと並行するため、中10日以上空けて登板してきたが、今回は初の中9日。初めて3桁の壁を越えるプロ最多の103球も投じ、7回を5安打1失点に抑えた。初回にプロ入り初死球こそ与えたが、これで6試合連続無四球で、6月20日の中日戦の7回以降からは実に41回2/3連続無四球。「カウントが悪くなっても、どうやってストライクを取ろうかを(冷静に)考えている」と涼しい顔だ。この日は3ボールも一度だけ。7勝目には成長が詰まっている。

 早くもプロの舞台で発揮する驚異的な制球力。養ったのは小学生時代に在籍した宇ノ気ブルーサンダーでの練習だ。構えたミットに投げないと相手が捕球しないメニューがあった。外せば転々とするボールを自ら拾いに行く。「それが嫌で必死に練習した」と笑う。自宅近くの空き地で約10メートル離れたブロック塀に縦20センチ、横40センチの的をイメージして壁当てを繰り返し「小6の頃からコントロールで苦労しなくなった」と振り返る。今や楽天の田中将らを抑えストライク率は驚異の70・4%だ。

 首位・阪神への挑戦権を懸けた3位・巨人との2連戦の初戦。思いが空回りして序盤は力んだが、試合中に高津監督から「うまくいかなくて、そのままズルズルいってはダメ」と言われて、冷静になれた。「自分の中で火がついた。考えながらできたのが成長できたところ」と感謝する。

 奥川は言う。「優勝争いの中で凄い経験になっている。優勝に貢献できるように」。これで巨人戦も2戦2勝。次世代のエースは、着実に成長している。(川手 達矢)

 《驚異の70%超え》奥川の今季のストライク率は70・4%で、これは両リーグの投手(1000球以上)で、田中将(楽)の68・7を上回り、堂々のトップだ。過去5年の両リーグのストライク率1位は、20年・大野雄(中)=68・3%、19年・増田(西)=71・0%、18年・東(De)=68・3%、17年・山崎康(De)=69・1%、16年・和田(ソ)=68・5%。70%超えは19年の増田だけで、奥川の制球力がいかに優れているかが分かる。

 《球団初!初対戦から巨人戦連勝》奥川(ヤ)が今季7勝目。ヤクルトで高卒2年目以内の7勝以上は90年に川崎憲次郎が2年目で12勝して以来31年ぶりとなった。また、奥川は巨人戦2戦2勝。高卒2年目以内で巨人戦シーズン2勝以上は03年に高井(現雄平)が1年目で2勝して以来18年ぶり5人目、6度目。右腕では前記の川崎が4勝して以来。初対戦からの2連勝は球団では初めてだ。

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