明治安田生命・伊藤智也内野手 身体能力自慢の22歳 故郷に“3・11V”届ける

[ 2021年3月7日 05:40 ]

8日開幕 スポニチ大会注目の新戦力(中)

紅白戦で力強い打撃を見せる伊藤(撮影・柳内 遼平)
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 「3・11」から10年。ルーキーが特別な思いを胸に躍動を誓う。立大から明治安田生命に加わった伊藤智也内野手(22)は、2月17日に行われた今年初の紅白戦で4打数4安打と活躍した。岩手県陸前高田市出身の二塁手は「“1年目だから”は関係ない。物おじせずいきたい。チームの勝利へ貢献したい」と抱負。スポニチ大会の決勝は3月11日だ。

 伊藤は小6時、東日本大震災で被災した。同市の広田小から自宅に避難。津波が街をのみ込む光景を目の当たりにした。家族は全員無事だったが、海を見るたび、被災した街並みを見るたび、当時の光景がよみがえった。

 中1の6月に野球を再開。心の傷は簡単に癒えるものではなかったが「野球をやっている間だけ、良い意味で忘れることができた」という。ひたすら白球を追い、腕を磨いた。津波によって校舎が全壊した地元の高田高校に進学。本紙長期連載「復興へのプレーボール」でも取り上げた同校で4番と主将を務めた。

 高校時代、チームが早大野球部の指導を受ける機会があった。そこで「東京六大学で野球を続けたい」と夢を描き、立大に進学。50メートル走6秒1、遠投100メートルの身体能力とパンチ力を武器に2年春からリーグ戦に出場した。打率・191と苦しんだが「力を伸ばして、一つ社会人できっかけをつかみたい」と気持ちを新たに挑む。

 昨年11月に帰省し、復興の早さに勇気づけられた。「少しでも自分の活躍が、地元の人たちに触れる機会があれば」。晴れ舞台で故郷に吉報を届けることを誓った。(柳内 遼平)

 ◆伊藤 智也(いとう・ともや)1998年(平10)7月11日生まれ、岩手県出身の22歳。小3で野球を始める。高田東中を経て、高田では1年秋からレギュラー。3年夏は県8強で甲子園出場なし。立大では主に二塁、三塁を守った。リーグ通算23試合で打率・191、6打点、2盗塁。1メートル78、85キロ。右投げ右打ち。

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