迫る球春も危機 雪にもコロナにも感じる無力感

[ 2021年1月10日 09:00 ]

昨年の西武・南郷キャンプ。松坂の即席サイン会に大勢のファンが並んだ球春ならではのシーンが見られたが…
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 乗用車が雪に埋もれ、ベランダに積もった雪で外の景色が見えない。記者の地元・新潟は9日も大雪だった。上越市で24時間の積雪が103センチ。地元の十日町市の今シーズンの積雪は2メートル50センチを越えた。友人、知人らがSNSで伝える大雪の画像に、東京で何もできずにいる無力さを感じる毎日だ。

 昨年から始まったコロナとの本格的な戦いは1年を迎える。完全に未知だった第一波から、スポーツ界は感染拡大防止に取り組みつつ何とか踏みとどまってきた。だが、限界が見えつつある。

 春高バレーことバレーボール全日本高校選手権では男子の前回優勝校の東山(京都)の選手が発熱し3回戦を棄権。9日に5選手の新型コロナウイルスの感染が確認されたと発表された。日本相撲協会も同じ9日、協会員約900人に実施したPCR検査で、幕内力士5人が陽性反応を示したと発表。10日の初日前日に、初場所(東京・両国国技館)での陽性者及び濃厚接触の可能性がある関取15人含めた力士65人の休場が決まった。担当するプロ野球も、年末から陽性者が続出している。

 感染が爆発するなかで、予防に腐心しながらも陽性となってしまった感染者は責められない。見えない敵から身を守るのは至難の業だ。みんなで一斉にじっと身を潜めることが、感染拡大防止の最大の近道。だが何の支援もない「お願い」ばかりの緊急事態宣言では、近道もいばらの道で足並みはそろわない。

 「特別な1年」から年が明け「今年こそ」と期待していた21年。わずか10日で、2月1日のキャンプインも晴れやかに迎えられなさそうな状況になった。西武は渡辺久信GMが来日が不透明になっている外国人選手に対し、春季キャンプ免除を通達しているという。「米国はキャンプに入ったらすぐオープン戦だし、そこまでにしっかり準備することには慣れている」。3月以降のチーム合流をメドにすると、これから約7週間の期間がある。新たな対策に懸命に取り組むのは現状、それぞれの工夫と努力しかない状況だ。

 雪国ではまた降ると分かっていても、日々除雪をしなければ生きていけない。ただ、積もった雪は努力すればなくなることが目に見える。見えない敵、コロナをどれだけ身近に実感できるか。やっかいな戦いがまだ続くことを思い知らされている、新年の幕開けである。(記者コラム・春川 英樹)

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2021年1月10日のニュース