トヨタ・栗林、7回2安打無失点10K、“176キロ”も!? 12球団スカウトの前で実力示す

[ 2020年9月16日 14:20 ]

第91回 都市対抗野球大会 東海地区二次予選   トヨタ自動車9―2東邦ガス ( 2020年9月16日    岡崎市民 )

<トヨタ・東邦ガス>トヨタ・栗林(撮影・井垣 忠夫)
Photo By スポニチ

 今秋ドラフト上位候補で最速153キロのトヨタ自動車・栗林良吏投手(24=名城大)が先発し、7回2安打無失点、10奪三振の好投でチームの初戦勝利に貢献した。スタンドには12球団35人のスカウト陣が集結。ヤクルト・小川淳司GM、オリックス・福良淳一GM、阪神・和田豊TA、DeNA・進藤達哉編成部長、中日・松永幸男編成部長ら各球団の編成責任者クラスに実力を存分に見せつけた。

 初回1死から連続三振を奪うなど、危なげなく立ち上がると、その後も安定して回を重ねる。威力ある直球にカーブで緩急を付け、カットボール、フォークボールも効果的に使用。「オープン戦ではカットを多めに使っていたが、今日は直球が良くて、直球中心で行けた。結果的に相手の裏をかくことができた」。7―0の5回には先頭打者をこの日唯一の四球で出塁させたが、落ち着いて対処。1死一塁から6番打者を直球、7番をフォークでともに三振に仕留め、流れを渡さなかった。三塁を踏ませず、チームの勝つ確率を最大限に高め、8回からはリリーフにマウンドを託した。

 6回2死、1番打者に対しての投球で、スコアボードに「176キロ」の球速を表示。ベンチに戻ると同学年の逢沢峻介外野手(23=明大)から「チャップマン超えか?」と愛のある“ツッコミ”を受けた。明らかな誤計測で、世界最速169キロを誇るヤンキースの守護神・チャップマンの球速を上回ったはずはないが、仲間からの“いじり”が嬉しかった。

 「緊張するタイプだし、ゾーンに入りすぎると周りが見えなくなることもありましたが、みんなが明るく声をかけてくれるので、とても助かります」

 最高の雰囲気の中、実力を出し切ってチームを勝利に導いた。

 ヤクルト・小川GMは「全てにおいて完成度が高い。(ドラフト1位は)間違いないんじゃないか?」と話し、オリックス・福良GMも「直球が指にかかっている。球も速く、制球もいいし、勝てる投手」と評価。中日・松永編成部長も「(ドラフト1位の)12人では間違いなく消える」と断言した。

 右腕は「前までは自分のセールスポイントは直球だと思っていたけど、全国にはもっと凄い投手がいる。だからセールスポイントと聞かれれば、試合をつくれること。あとはケガをしないことです」。目指す投手はチームの先輩でもある日本ハム・金子、中日・吉見。

 「プロに行くことが小さい頃からの夢。ただ今はコロナで苦しい中、野球をさせて頂いている会社に感謝しているし、恩返しがしたいと思う。チームのために腕を振って頑張りたい。チームを勝たせるために投げた結果、自分にもいい結果になればいいと思う」

 今秋ドラフトの目玉となる可能性のある右腕。頭にあるのは、チームの4年ぶり2度目の都市対抗大会優勝のみだ。

続きを表示

2020年9月16日のニュース