東尾修氏 西武・浜屋に感じた先発としての高い資質 右肩が生命線、スピードには走らず質を高めてほしい

[ 2020年9月16日 22:31 ]

パ・リーグ   西武3―1ロッテ ( 2020年9月16日    メットライフD )

<西・ロ>西武先発・浜屋(撮影・尾崎 有希)
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 【東尾修 視点】初先発の西武新人・浜屋はいいところを出せていた。先発投手としての資質の高さが感じられた。

 若く経験のない先発投手を見る上で、ポイントがいくつかある。まず初回立ち上がり。走者を背負った場面。リードしていれば勝利投手の権利が懸かる5回。この3点において、全く表情には出さず冷静だった。気持ちの中では思っていたのかもしれないが、それを相手に悟られることはなかった。顔は優しいが、気持ちがしっかりしている。

 球速は140キロ台半ばまでだが、堂々とストライクゾーンで勝負し、1軍の打者に差し込めていた。ソフトバンク・和田のように、右肩の開きを押さえてうまく使い、球の出所が見にくい。加えて速球の切れもあった。ロッテ打線が初見だったことを差し引いても、球速以上に威力を発揮する真っすぐが軸となった。おかげでフォークとチェンジアップを有効に使えていた。

 ファームでバッテリーを組んでいたという柘植も、長所をよく理解していた。いいリードで引き出していた。

 一つ間違えないでほしいのは、球速は追い求めないこと。スピードよりも、球の質を良くすることを考えた方がいい。速さに走ると、右肩がどうしても開きやすくなる。変化球の回転数も落ちる。そこが浜屋の生命線。スピードガンではないことを十分理解して成長していってほしい。

 相手のロッテ先発・小島も同じようなタイプで、玄人好みな味のある投げ合いだった。特にけん制は抜群で、久しぶりにけん制のうまい投手を見た。色々なパターンを持っているから、走者はタイミングが取れない。足の上げ方、目の使い方、あごの使い方、どれもうまいし考えられている。外崎や源田が一塁上でアップアップしていた。塁上に釘付けにするスキルが高い。

 浜屋は内海からチェンジアップを教わったと聞くし、同じタイプのいい先輩もいる。無四球と制球が良く、自滅するタイプではない。西武先発投手陣の中ではまってほしいし、期待を持ちたい。次の登板が楽しみだ。

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2020年9月16日のニュース