阪神・矢野監督 “大ばくち”バスターエンドラン失敗「いくべきところでいった」 73試合目で自力V消滅

[ 2020年9月16日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-6巨人 ( 2020年9月15日    東京ドーム )

<巨・神(14)>ベンチで戦況を見つめる矢野監督(撮影・北條 貴史)
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 阪神は15日の巨人戦に逆転で敗れて優勝マジック38の点灯を目の前で許した。難敵の菅野から三たび奪ったリードを守れず、2点を追う7回無死一、二塁の好機では矢野燿大監督(51)が仕掛けたバスターエンドランの“大ばくち”が失敗した。東京ドームでは開幕から7連敗に沈み、73試合目で自力優勝の可能性が消滅した。

 決死の奇襲は実らなかった。

 2点を追う7回に内野安打と四球で得た無死一、二塁。この回から登板した高梨は明らかにコントロールを乱していた。バントに構えた梅野への初球もボール。続く2球目に矢野監督が勝負に出た。

 「(サインを出すことに)悩んでない」

 選んだ作戦に迷いはなかった。敢行したバスターエンドラン。2人の走者は一斉にスタートを切り、梅野はバントの構えから打ちに出た。仮に打球がライナーになって内野手の正面を突けば、三重殺の可能性もあるリスクの高い奇策だった。

 結果は見送れば、ボールになっていた内角低めスライダーを空振り。バットに当てるには難しい球だった。三塁へヘッドスライディングした二塁走者・小幡も盗塁死。1死二塁へ局面は変わり、苦しんでいた高梨を立ち直らせた。後続も倒れて無得点。勝負手が裏目に出た全責任を矢野監督は背負った。

 「勝負にいった結果なんでね。責任というか、それは俺自身が受け止めている。俺としてはいくべきところでいったというところ」

 難敵の菅野に対して序盤から奮闘し、5回まで3度も優勢に立った。それだけに初めてリードを奪われた直後の攻撃で再び流れを引き寄せたい思惑があったはずだ。命運をかけた大勝負は不発に終わった。
 
「今日も球際であったり、ここで一発決めるとか、そこの差が出たゲームだったかな」

 力の差を率直に認めざるを得ない。総力戦の決意で挑んだ猛虎とは対照的に巨人は先を見据えるかのように6回から坂本、7回からは岡本までベンチへ下げた。東京ドームでは屈辱の開幕7連敗。73試合目にして自力優勝の可能性が消滅した。

 「俺らのやるべきことは優勝マジック出たからといって、何も変わることはない。可能性はゼロじゃない。この1敗で下向いて、野球をやるわけじゃない。前を向いて野球やれる試合にすればいい」

 目前でマジック点灯を許しても、ブレない姿勢を示した。今季最大の10・5ゲーム差へ離されても、公言してきた日本一への道が完全に途絶えたわけではない。まず取りたいのは敵地での1勝目。最後の最後まで望みは捨てない。(山本 浩之)

 《01年67試合目以来の早さ》阪神は巨人に敗れ、自力での優勝の可能性が消滅した。残り47試合に全勝した場合の勝率・716(83勝33敗4分け)が、巨人が阪神戦以外に全勝した場合の勝率・724(84勝32敗4分け)を上回れないため。120試合制のため単純比較はできないが、73試合目での消滅は140試合制だった01年の67試合目以来の早さ。

 《逆転Vには勝率・612以上?》近年の阪神で自力V消滅以降の残り試合を勝率5割以上だったのは17、19年だけ。逆転優勝するには、巨人が残り48試合を24勝24敗の勝率5割だったとしても、阪神は35勝12敗(勝率・612)が必要で、かつてない追い上げが求められる。

 《東京Dで7戦7敗》阪神は東京ドームの巨人戦を開幕から7連敗。同球場での開幕連敗ワーストは12年の8連敗(2分け挟む)で、7戦7敗は後楽園時代も含め、63年に9戦9敗して以来57年ぶり。

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