オリックス・吉田正 未到の境地へ!“深化”した相棒で初打撃タイトル狙う

[ 2020年6月16日 07:30 ]

オリックスの吉田正尚
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 オリックスの吉田正尚外野手(26)がスポニチ本紙の電話インタビューに応じ、コロナ禍で迎える異例のシーズンに向けて意気込みを示した。球界を代表する強打者が携えるバットは侍ジャパンで共闘した広島・鈴木誠もほれ込んだ逸品。首位打者、本塁打王…。こだわりの新相棒で初の打撃タイトルをつかみ、21年東京五輪出場の足掛かりとする。(取材・構成=湯澤 涼)

 ――ようやく開幕を迎える心境は

 「やっと正式な日程も見えて、そこに向けて逆算して、しっかり上げていきたいなと思っています」

 ――誰もが未体験のシーズン。自分に期待すること。反対に気をつけたいポイントは

 「期待するのは、自分の数字。毎年キャリアハイを目指している中で、いつも“取れる打撃タイトルは何でも取りたい”と言葉にしていますが、タイトル争いの部分。気をつけたいのは、僕の場合はケガ。1年目、2年目と(腰痛でいずれも出場60試合程度)本当に悔しい思いをしたので常に頭に入れて意識しないといけないです」

 ――道具にこだわりは強い。昨秋のプレミア12で広島・鈴木誠が完全同型のバットを作ったほど気に入っていた。イエローバーチの33・5インチ、880~890グラム。今季は形や重量は変えず先端のくりぬき部分を深くした。

 「僕の場合は“弾きの良い”バットが良いんですが、職人さんと意見交換する中で、“重たい方が良い材質”ということがあると、うかがったんです。単純にバットの材質ですよね。それで最初から重たいものを選んで、それをくり抜くことで重量を減らしました」

 ――過去にはメープル、ホワイトアッシュ、アオダモも試した。
 「今のこれが、しっくり来ますね」

 ――高密度の素材で飛距離アップ。くり抜きで重心が手元に近づき、操作性も上がる。

 「僕は飛距離も求めたいし、(打)率も上げたいので操作性も重視したい。職人さんと話し合う中で、お互いの意見がマッチして、というところです」

 ――完成品が届くと、グリップ側を床などでコンコンと軽く叩いて音を確認する。

 「10本くらいかな、その中から3~4本くらいをしぼって、良いものから、おろしていくっていう感じですね。(ポイントは)なるべく高い音、金属音ではないけど“弾きそうな感じの音”を探しますね。グリップの方から叩くと、音の響きが分かりやすいですね」

 ――プレミア12では鈴木誠の存在感は大きく、刺激を受けた。

 「年は僕より下だけど、MVPを取りましたし、凄いなと率直に思いました。僕もそういう選手になりたいと思った。ああいう大舞台で活躍できる選手に、と。打撃だけでなく守備や走塁も上げたいとも思いました。刺激…というより、モチベーションですよね」

 ――守備・走塁面を含めた総合的なレベルアップを目指している。
 「今は自信に変えていく作業をしていますね。打撃はまあ、ほとんどミスですが、守備・走塁は絶対にミスをしてはいけないし、でも積極的にいきたい」

 ――昨季から試合前練習などで三塁ノックを受ける。野球の動作で下半身強化を図る。

 「去年からかな、勝呂さん(現四国IL・高知コーチ)と一緒にやり始めました。試合ではないから、集中力も違うでしょうけど」

 ――将来的には三塁挑戦も視野にあるか。

 「僕からは言えないです。でも、どうせなら、うまくなりたいですよね。(左翼)1個より何個も守れた方がチームを助けられるというのもありますし」

 ――新相棒で挑む120試合。試合数が減ったことは、目標の打撃タイトル獲得へ、プラスと捉えるか。

 「まあ、みんな同じ状況ですからね、その中で結果を出すことは変わらないので。僕の場合は(昨季は夏場から)最後に上がってきたから、どうなのかな。400(打席)くらいはいくのかな、ヒットは150くらい…。いや、そうですね、1日1本打っていく、四球も選んで、その中で結果を出していく」

 ――その先には、侍ジャパンとして東京五輪出場も見えてくる。

 「正直、今は先のところは見えないですが、シーズンの結果が、つながってくると思う。今は、とにかくしっかりシーズンを戦っていきたいです。プレミア12を経験して、日の丸を背負ってやりたいという気持ちは常にあります」

 ≪球児の道具選び助言≫吉田正はコロナ禍で野球ができない球児を気遣った。その上で「何か力になれれば」との思いから、道具選びのポイントをアドバイス。実体験を踏まえ「“この選手が使っているんだ”くらいの気持ちで選ぶのも良いと思います。僕もグラブは『元木モデル』、SSKのオールラウンドを使っていましたし」と助言した。続けて「友達の持っているものを触ったり。いろいろ試して“使って分かる”ことが大事です」とコツを明かした。

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2020年6月16日のニュース