熱さの中での開幕、過密日程…日本ハム・栗山監督が明かした苦悩の裏にある使命

[ 2020年6月16日 08:30 ]

日本ハム・栗山監督
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 セ・パ両リーグの今季全日程が15日に発表された。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3月20日の開幕が延期され、開幕は6月19日に決定。120試合のレギュラーシーズンをこなすため、6連戦中心の過密日程となった。日本ハム・栗山監督は過密日程の中でも優勝を目指しつつ、選手を酷使して故障させてはいけない現場の指揮官としての苦悩を明かした。

 2カ月近い自主練習期間を挟んで本格的な練習を再開したのは5月末。各球団12試合の練習試合を経て開幕するが、練習内容や練習量に格差が生じた。「経済と一緒で早く始めたいのも分かる」と理解を示しつつ、栗山監督は「球団に話していたよりも全然(準備期間が)少ない。やっていることがいいとか悪いとかではない。こういうやり方が本当によかったのか(シーズンが)終わった後に球界全体で検証しないといけない。自分のことだけじゃなく、みんなで考えないといけないことがたくさんある」と語気を強めた。

 例年、気温が上がらない3月下旬からシーズンが開幕し、徐々に気温が上がって選手もそれに体を慣らしていくが、今季は既に30度を超える日もある6月の開幕。急仕上げでシーズンに入ることになった選手を預かる指揮官の立場として「怖さしかない。疲労がたまって大きなケガになるシーズンであることは間違いない。うちのチームだけでなく、12球団の選手たちをみんなで守るシーズン」という。

 選手のコンディションを正確に把握するため、コーチには例年以上に選手との対話を求めたという。「本当に選手をしっかり見る、選手と話をする。(選手は)“大丈夫、元気です”って言うけど、我々がその裏にあるものを見逃さないようにしていけるかどうか」。練習試合でも同一カード3戦目は若手主体で臨むなど疲労をためないように采配してきた。

 その思いの根底にあるのは、野球界の一員として伝統ある野球を次世代にうまくバトンを渡す役割も担っていると自覚しているからだ。「普通だったら“それはやめましょう”って言う」ほどの過密日程。それでも覚悟を決めてシーズンに臨むのは「プロ野球という存在そのものを問われている時に、先輩から預かったプロ野球を何とか守りきるということも含めてやらなければいけない使命がある」からだ。選手に大きな故障なく、野球を渇望するファンを魅了するシーズンとなることを願う。(記者コラム・東尾 洋樹)

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2020年6月16日のニュース