大リーグの今季は消滅か? コミッショナーが消極発言 複数の選手のコロナ感染も判明

[ 2020年6月16日 10:40 ]

今季の全日程中止に言及した大リーグのマンフレッド・コミッショナー(AP)
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 大リーグ機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーは15日、スポーツ専門局のESPNの番組に出演して「間違いなく我々にとっては災害。ファンのためにシーズンを始めることが重要だが、それは起きそうにない」と語り、新型コロナウイルスの感染拡大で通常の開幕ができない今季の“消滅”について言及した。当初は日割りの年俸の全額支給で選手会と合意し「良き信念の下で交渉していく」と団結モードを漂わせていたが、無観客で試合を実施すると1試合につき64万ドル(約6800万円)の損失が計上されるため、最終的に「日割りの70%で72試合。コロナの第2波の影響がなくプレーオフの全日程を消化すれば80%を支給」という譲歩案を提示したが、選手会はこれを拒否。マンフレッド・コミッショナーは「リスクがあると考えている。今後の交渉がないならばそのリスクは今後も継続していく。オーナーは100%、試合をやるつもりだが、私はそれが実現できるという100%の確信はない」として今季の試合がすべて取りやめになる可能性を示唆した。

 AP通信は交渉にあたっていた大リーグ機構のダン・ヘイレム副コミッショナーが選手会の交渉人を務めていたブルース・マイヤー氏に送った7ページにおよぶ文書を入手。この文書でヘイレム副コミッショナーは「日割り年俸の全額支給」を約束した3月の合意を撤回したときに選手会が法的措置を取らないようにと求めており、舞台裏での労使交渉は泥沼状態陥っていたことも発覚。副コミッショナーはこの文書の中で「複数の選手とスタッフがすでに新型コロナウイルスに感染している」という新事実もマイヤー氏に告げており、今後数週間でキャンプを開始させることにもリスクがあることをアピールしていた。

 AP通信によればヘイレム氏の文書には“皮肉”が混じり、マイヤー氏の返信には“敵意”があふれている状態。選手会のトニー・クラーク専務理事は「マンフレッド・コミッショナーは選手やファンに“2020年シーズンは100%実施する”と言ったではないか。それなのに今はすべて中止にすると圧力をかけている。だから選手たちは不愉快だと感じている」と猛反発しているが、新型コロナの感染拡大で始まった今季の開幕延期は、労使交渉のもつれという予期せぬ形でじりじりと全日程の中止という方向へ突き進んでいる。

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