中畑氏 夢の足かせ?ポスティング 海外FAを6年に

[ 2019年12月10日 09:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】今年の最優秀バッテリー賞に選ばれた山口俊(巨人)から「来年はメジャーに行きます」と打ち明けられたときはビックリしたよ。

 DeNAからFAで巨人に移籍して3年。今年は15勝したけど、移籍1年目は故障もあって4試合しか登板していない。なんでメジャーに行けるんだと思った。

 聞くとポスティングシステム。巨人に入団するときに約束していたらしい。3年目の今年、5年ぶりの優勝に貢献して実現したんだ。

 それはそれとして、この制度自体は見直すべき時期に来てると思う。分かりにくいし、裏取引のイメージがつきまとう。

 ドラフトではメジャー志向の強い選手を指名するときに「何年在籍してくれたらポスティングで…」と約束する。決して表に出さない密約だ。

 選手からすれば、プロ野球の先にメジャーリーグという夢があるのに、それを語ることができない。約束の年数がたって初めて表面化。ファンは「どんな裏取引があったの?」と勘ぐりたくなる。そんな不透明な部分が嫌なんだ。

 プロ野球は自由に夢を語れる世界でなくちゃいけない。その足かせになっているポスティングシステム。これに取って代わる制度を考えようよ。

 現行のFA資格条件は、2007年以降のドラフトで入団した選手で国内FAは高校生が8年、大学生・社会人で7年、海外FAは一律9年となっている。

 私は国内と海外を逆転させ、海外FAを6年に短縮したい。そうすれば一部の選手だけの密約はなくなる。みんな平等。プロ野球で頑張れば、誰でも若くしてメジャーに挑戦できるんだ。

 ポスティングによる最大2000万ドル(約21億8000万円)の譲渡金は入らなくなるけど、そんな小さいことは言いなさんな。大谷翔平(エンゼルス)みたいな選手が出てくることを日本球界として誇りにしようよ。

 最後に32歳でメジャーに挑戦する山口俊。ベイスターズ同期入団の黒羽根(現日本ハム)に入団時の話を聞いたよ。「英語の辞書を持って合宿所に入ってきた」ってね。長年の夢がかなっておめでとう。入団会見はもちろん英語でやるんだろうね。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2019年12月10日のニュース