阪神・岩貞、1安打快投 “能見組”から独り立ち「成績出さないと」

[ 2019年3月31日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1―0ヤクルト ( 2019年3月30日    京セラD )

阪神先発の岩貞(撮影・坂田 高浩)
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 阪神・岩貞祐太投手(27)が30日のヤクルト戦で6回1/3無失点の快投で今季初勝利を挙げた。救援陣も完璧投球を演じ、1安打の零封継投で糸井の1号で挙げた初回1得点を守り抜いた。プロ野球史上最少に並ぶ計3得点での開幕2連勝。猛虎自慢の投手力を存分に見せつけ、セ・リーグでは唯一の連勝にもなった。

 開き直りが快投を生んだ。3回1死から3連続四球で満塁の窮地に追い込まれても岩貞のメンタルは乱れていなかった。

 「自分で招いたピンチだったので、どうにかなるかと。あれだけ四球を出すのも自分で珍しいので、これ以上は出ないだろうと」

 バレンティンを一飛に仕留め、最後は塩見を144キロ直球で空振り三振。終わってみれば、唯一のピンチを切り抜け、降板する7回1死まで12者連続で抑え込んだ。

 真っさらなマウンドで左腕をしならせる勇姿は、背中を追いかける能見と重なる。16年オフから沖縄で合同自主トレ。今年は中継ぎ調整に専念する先輩が関西に居残り、期せずして“能見組”からの卒業を余儀なくされた。

 沖縄にたつ直前の1月上旬。「僕からいろいろ聞きたいことがあったので」と会食の機会をつくり、乾杯後に間髪入れず能見に聞いた。「最終確認ですけど、本当に沖縄に来ないんですか?」。短い返答に奮い立った。

 「もう、サダには3年間である程度教えてるから。練習は絶対にだらけてやるなよ」。向けられた叱咤(しった)激励に「能見さんから直接、そういう言葉をいただいたことで自分にも引き出しがあるんだと思えた」と“独り立ち”の決意は固まった。

 梅野ら同世代で引き継いだ沖縄自主トレではボールを使った屋外での合同練習を終えると、午後からは同行する個人トレーナーの指導のもと完全別メニューで課題の体幹を鍛えた。「サボれない、きついメニューをお願いした。1時間がっつり。苦手な体幹を意識してやったのは初めてですね」。能見の言葉を胸に鍛錬の日々を過ごし、追い求めてきた直球の球威増につながる土台ができた。

 6三振はすべて直球で奪い、「オフからこだわってやってきて、初戦で出せた」と少しだけ胸を張った。開幕2連勝で見せつけた猛虎の投手力。中核を担う者として次を見据える。「(チームを)引っ張るというか、成績を出さないといけないので、1週間後に向けて準備していく」。能見から継承する“左腕エース”の座へ、力強い第一歩だ。(遠藤 礼)

○…阪神の開幕連勝は15年の3連勝以来4年ぶり。2試合のスコアは2―1、1―0で、合計3得点での開幕連勝は1959年の4得点(1―0、3―0)を60年ぶりに更新する球団最少記録で、プロ野球全体でも15年の西武(1―0、2―0)に並ぶ2チーム目の最少記録となった。

○…被安打1以下の1―0勝利は11年8月9日の中日戦(被安打1)以来8年ぶり。

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2019年3月31日のニュース