種まいた3年間…金本監督 若虎に「キレイなスゴい花咲かせて」

[ 2018年10月14日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3―2中日 ( 2018年10月13日    ナゴヤD )

<中・神>最後まで声援を送ったファンに帽子を取ってあいさつする金本監督 (撮影・成瀬 徹)    
Photo By スポニチ

 阪神は13日、今季最終戦となる中日戦を延長11回の末に制し、今季限りで辞任する金本知憲監督(50)は最後の采配を白星で終えた。3年間にわたって手塩にかけて鍛えた若虎たちに「来年以降、キレイなスゴい花を咲かせてほしい」とはなむけの言葉を贈り、背番号6のユニホームに別れを告げた。

 延長11回の末、有終の美を飾った。今季最終戦。金本監督にとっては、指揮官としての最終戦でもあった。試合後、チーム全員で左翼席の虎党の元へ向かい、帽子を取って深々と頭を下げた。するとスタンドからは、3年間の労をねぎらうかのように、指揮官の現役時代のヒッティングマーチが鳴り響いた。

 背番号6に袖を通して戦う監督生活429試合目でも、最後まで「超変革」を貫いた。先発には自らがドラフト指名した5選手が並び、全員が20代の象徴的オーダー。鍛え上げた若虎たちが、最後に白星を贈ってくれた。

 「本当に今日みたいな執念を出して接戦を勝ち取る野球がしたかったですけど、なかなか苦しいシーズンで終わってしまった。これは本当に全部、僕が指導というか、そういう環境作りというか、その能力がなかったから、こういう結果になった。選手たちは本当に一生懸命、よくやってくれました」

 2回2死一、二塁では監督就任直後の15年ドラフト6位の板山が中前同点打を放った。9回1死二塁では16年ドラフト1位の大山が左前打で同点機を作り出した。そして11回には1死から中前打で出塁の植田が、続く大山の三振の間に二盗と機動力野球を展開。中谷の決勝二塁打につなげた。植田も中谷も、金本監督が1軍に抜てきした2人。いわば「金本チルドレン」の若虎が最後の最後に執念と持ち味を発揮してくれた。そんな若手たちに向け、はなむけの言葉を贈った。

 「この3年間、いろいろ目をかけた、そういう選手が来年以降、芽が出て花が咲いてくれないと、なんか僕まで悲しくなる。本当に来年以降、キレイなスゴい花を咲かせてほしい。就任1年目から言っているけど失敗しないと覚えていかない。失敗オーケーのチャレンジ精神を持って、前向きに前のめりになって、失敗してほしい」

 シーズン終了のオーナー報告の予定はなく、この日が監督として最後の公の場だった。次期政権への提言を求められると「次の首脳陣はまた次の首脳陣」と話した上で、「だいぶ育成も進んだので、そろそろ補強で固めた方がよろしいかと思いますけどね」とニヤリ。厳しく、明るい、金本阪神の「超変革」が終焉(しゅうえん)を迎えた。(惟任 貴信)

続きを表示

2018年10月14日のニュース