泣くな吉田!魂の881球…今夏初めて途中降板 涙止まらず

[ 2018年8月21日 16:37 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会決勝   金足農2―13大阪桐蔭 ( 2018年8月21日    甲子園 )

<大阪桐蔭・金足農>金足農・吉田の帽子のつばには「マウンドは俺の縄張り 死ぬ気の全力投球」の文字が(撮影・北條 貴史)
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 東北勢悲願の初優勝には、またしても手が届かなかった。

 金足農(秋田)が県勢として103年ぶりに果たした決勝進出。だが、史上初の2度目となる春夏連覇が懸かっていた大阪桐蔭(北大阪)の強力打線に大黒柱の吉田輝星投手(3年)が飲み込まれた。

 秋田大会の全5試合でオール完投。計43回を投げ抜いて甲子園に乗り込んできた右腕の勢いは、舞台を球児の聖地に変えてもとどまることを知らなかった。8日の1回戦から前日20日の準決勝まで1人で全5試合、計45回を完投。準々決勝まで4試合連続2桁奪三振を達成し、一躍今大会のNO・1注目投手に躍り出た。

 しかし、秋田大会から甲子園の準決勝まで1400球近くを投げていた蓄積疲労に、気温33度の猛暑が追い打ちをかける。初回、四球と安打でいきなり無死一、三塁のピンチ。続く3番・中川と4番・藤原はともに内角スライダーで空振り三振に斬って取ったが、5番・根尾も四球で歩かせて満塁としてから6番・石川の初球に自らの暴投で先制を許すと、その石川には右中間へ2点適時二塁打を許して計3点を許した。

 4回には、内角へ投じた140キロ直球を宮崎に左翼スタンドへ叩き込まれる3ランを被弾。5回には根尾にバックスクリーンへ2ランを浴びた。結局5回だけで打者11人に7安打6失点。吉田はこの回限りで今年の夏初めて途中でマウンドを降り、背番号1は右翼の守備に回った。5回で132球を投げ、12安打12失点。そして甲子園全6試合で計50回を投げ、投じた球数は881球にも及んだ。

 三塁の守備からマウンドに上がった4番打者の打川は3回1失点と好投。打線は3回に1点、7回に1点を返したが、及ばなかった。9回、最後の打者・菊地彪の打球が右翼手のグラブに収まって試合が終わると、吉田は号泣しながら整列。その震える肩を大阪桐蔭の選手たちが代わる代わる叩いて抱擁を交わすと、吉田の涙顔に笑みが広がった。日本中を沸かせた金足農の夏、吉田の夏。敗れはしたが、しっかりその足跡を残した熱い夏だった。

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