【石井一久 クロスファイア】スプリットに活路?大谷のメジャー適応一歩前進

[ 2018年3月28日 11:30 ]

エンゼルスの大谷
Photo By スポニチ

 エンゼルスの大谷がまもなく開幕を迎える。ここまで結果が出ておらず、「大谷は大丈夫か?」という声もよく聞かれる。それについて「投手と打者の2つをやっているのだから、苦労して当然」という見方もあるが、「二刀流だから」という先入観で片付けてはいけないと思う。投手に関して言えば、まだボールに適応できていない。

 自分の経験で話せば、どの球種が軸になるのか、現状での順位付けを早くすることが大事だ。仮に大谷の中で、日本での順位付けが、1番が真っすぐ、2番がスライダー、3番がスプリットだとしよう。でも、それはメジャーでの現時点での順位付けではない気がする。今の状態から感じ、自信のあるボールから順位付けする必要がある。例えば、パドレスに入団した牧田は、明らかにカーブの順位が日本時代より上がっている。

 僕がここまでの大谷の登板を見てきた感覚では、真っすぐが一番アバウトな気がする。ならばスライダーもしくはスプリットを軸にしながら、真っすぐのクオリティーを上げていけばいい。スライダーもスプリットも、カウント球にもなるし、ボールゾーンにいけば、打者が追いかけてくれるので、自然とストライクゾーンを広げることができる。そうすることで、真っすぐが多少アバウトでも有効になる。真っすぐが使えれば、スライダーとスプリットもより生きてくるので、両方の球種の相乗効果がある。

 実戦最後の登板となった24日の紅白戦では、85球中、スプリットが24球と実に28%を占めた。もしスプリットに活路を見いだしたのなら、一歩前進と言える。メジャーに移籍する投手は誰もが最初はボールの違いに苦労する。試行錯誤していく中で、軸になる球種を察知する能力は重要で、器用な大谷にはその能力があると思う。

 大谷のここまでの実戦での防御率は12・46だそうだが、ちなみに僕はメジャー1年目のオープン戦は防御率12・96だった。その時もみんなに「石井は大丈夫か?」と言われた。本人よりも、周りの人の方が心配?してくれるんですよね。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

2018年3月28日のニュース