広島・菊池激白 リーグ3連覇へ「嫌われ役に」なる

[ 2018年2月6日 09:00 ]

リーグ3連覇へ意気込みを語った菊池
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 広島の菊池涼介内野手(27)が春季キャンプ休日の5日、スポニチ本紙の単独インタビューに応じた。リーグ3連覇と日本一を大目標に掲げ、自身3年ぶりの全143試合出場に強い意欲を燃やす今季。従来通り先頭に立って攻守走で貢献するだけでなく、チームのまとめ役として「嫌われ役」をいとわない決意を激白した。(構成・江尾 卓也)

 ――キャンプは第1クールが終わった。自主トレを含めて順調?

 年末にロサンゼルスで自主トレし、股関節や肩甲骨周りの可動域を広げるトレーニングをやってきました。動いていなかったものが動くようになったので、感覚の違いは確かにあるし、今まで通りにプレーすると怖いので、確認しながらちょっと抑えめに、自分のペースで調整してきた感じですね。

 ――新年は静岡で自主トレを行った。

 帰国後すぐに自主トレを始め、休む期間がほぼなかったので、体が覚えているというか、(始動した)7日からすぐに動ける感じでした。(静岡では)バランスよく練習できたと思います。

 ――今キャンプは攻守走バランスよく?

 守備はノック量が多いし、対応できると思うので、いつもは打撃が主でした。ただ、マークがより厳しくなる今季は走塁の重要度が恐らく増す。一塁走者で出塁した時に(ヒット)1本で帰って来るとか。かき回す走塁は意識を持って取り組もうと思います。

 ――リーグ3連覇を目指す今季は、チームのまとめ役も担う。

 昨季の優勝は打線が(原動力)…と言われたけど、今季は投打が…言われるぐらいチーム力を高めたいですね。キャンプイン前日の1月31日に選手会メンバーで集まり、投手と野手で食事しながら話し合ったんです。

 ――どんな話を?

 お互いに意見を出し合おう…と。コーチ陣に対してもそう。唯々諾々と従うのではなく、気が付いたことがあれば現場の選手側から積極的に提案し、自分たちの思いを言葉にして伝えていく。意見を言うということは、自分に自信がないとできないし、責任も負う。そういう環境をつくっていこう…と皆で話をしました。空気を変えたい。投手陣には特に期待しています。

 ――今までは?

 野手から投手に言うことはあるけど、その逆は基本的にない。野球は投手が9割と言われているぐらいなので、そういう体質も変えないといけない。そこが変わってくれば、(今季は)面白くなると思いますね。

 ――菊池選手自身が周りに声を掛けるケースが増えていきそう。

 新井さん、石原さんからも“一番しんどい立ち位置かもしれないし、苦しいかもしれないけど、嫌われ役になってほしい”と言われているんでね。そういう立場だと思うし、先輩たちからもそう言われている以上、若い選手たちを気に懸けていかないといけない。

 ――なるほど。

 ただ、自分がしっかりしていないと、言えることも言えないのでね。活気あふれるチームになるよう、自分なりに締めるところは締めて、選手会長の会沢さんらと一緒に頑張ろうと思います。

 ――カープのよさは、ベテランから若手まで皆が同じ方向を向いて戦っていること。

 確かに新井さんや石原さんの存在は大きいけど、頼ってばかりではね。会沢さんやボク、丸、(田中)広輔らで締められればと思うので。そこが今季のカギだと思います。

 ――守備の話を聞かせてほしい。キャンプで意識している練習は?

 しっかり正面に入ること。正面のゴロが弱いと自覚しているので、正面でしっかりバウンドを合わせて捕ることを、練習では意識してます。

 ――菊池選手の守備に憧れる子どもは多い。上手になる秘訣は?

 小さい頃はヒマがあれば壁当てをしていました。でも、一番はめちゃくちゃノックを受けた高校時代。受けないとわからない感覚があるんです。4〜5年一緒に自主トレしている庄司(隼人)が上手になった好例で、ノックを受けてなんぼ。もちろん基本は大事ですが、何百本、何千本のノックを受けて、自分で発見することが高校の時にはあった。それが大きいですね。

 ――プロに入って自信を得たのはいつ?

 野球の知識がほとんどない中で、1年目から(野村)謙二郎さんや高(信二)さん、(石井)琢朗さんに毎日ノックを受け、突っ走ってきました。1〜2年目は、カバーリングやカットに入る位置とか、教えてもらうことばかり。3〜4年目からいろんなことを覚え、徐々に自信が持てるようになったかな。下手クソでしたけど、自信を持って守っていれば…ね。野球はメンタルが大きいので。

 ――今季から併殺時のベースタッチがリプレー検証になる可能性がある。何か対策は?

 実際にWBCでも1回検証され、(離塁が)早いと判断されてセーフになったことがありましたからね。ベースから離れるのが明らかに早いプレーもあるので、そこは厳しく取ってもらっていい。ボクらプレーヤーからすれば、確実にベースタッチしてから送球しないといけない。新しいチャレンジというかね。普通のことではあるけど、流れ作業ではいけないので、見つめ直さないといけない部分はありますね。

 ――なるほど。

 ただ、ボクはそんなに気にしていないですけどね。(二塁ベース上で)止まっていても、投げられる自信があるので。セカンドは止まって投げることが多いけど、ショートは流れで(ベースに)入っていくプレーが少なくないので、セカンドよりショートの方が気になるかも。

 ――では、3連覇を目指す今季は個人的にどんな1年にしたい?コンディション維持の上で苦しかった昨季の経験を踏まえて。

 一番の目標は元気で1年を過ごし、全試合に出ることですね。欠場した阪神戦で3つやられた(5月5日〜7日)ように、ケガやコンディション不良でチームのワンピースが欠けたら、パズルが完成しない。センターラインの要と言われる以上、何とか元気な姿を1年間見せていたい。丸や広輔が全試合に出ている以上は一緒にプレーしたいし、元気でいないと打席にも立てないので、それが一番の目標です。

 ――昨季は守備だけでなく、攻撃でも黒子役に徹し、連覇に貢献した。体調が問題なければ多様な打撃ができる自信があるのでは?

 自信があるとは言い切れないけど、さっきも言ったように野球はメンタルなスポーツなので、体調が良ければ心も晴れ、何でもできるという自信につながる。しんどいとか痛いとか不安を抱えていると、打席でも守備でも小さくなってしまうので、やっぱりコンディションですよ。

 ――3月には侍ジャパンの一員としてオーストラリア戦(3日=ナゴヤドーム、4日=京セラドーム)に出場する。開幕前でどんな位置づけになる?

 日本球界にも外国人投手はたくさんいますからね。動くボールとか、上背があって近く感じたり。そういう体験ができるという意味では、シーズンにもプラスだと思います。

 ――2020年の東京五輪への思いは?

 もちろん、1回ぐらいはオリンピックを経験してみたいです。WBCとはまた違った緊張感があると思うしね。ただ、大前提として選ばれるには、個人的にしっかり成績を残さないといけない。そういう意味では、モチベーションが上がるというか。やっぱり出場したいですから。

 ――では、今季はチームでも個人でも充実感あふれる1年に。

 ぜひ、そうしたいですね。打順はわからないけど、2番を打つのであれば、つなぎ役を徹底してやっていかないといけない。欲を抑えないといけない役割なので、自己犠牲の精神は絶対に必要。欲を抑え切れないと失敗したり、空回りする。そこは去年たくさん学んだので、今年は割り切ってサイン通りにやっていきたいと思います。打ちたいと思う時に、バントのサインが出たりすると悔しい。そういう思いもありながら、チームのためとやってきましたけど、去年いろいろ学んだ分、今年は欲を抑えられると思うので。

 ――菊池選手は黒子に徹しながら、キバもむける。他の2番打者にはない強みがある。そこも磨きつつ?

 当然です。振れる時は、初球からどんどん振っていきたい。そういう怖さも相手に植え付けないといけないので。そこもひっくるめてコンディションが大事。頑張ります。

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