強打者ばかりでは勝てない スマホゲームで考えた野球の奥深さ

[ 2017年1月11日 10:30 ]

 今年からメジャーリーグ担当になった。スマートフォンの大リーグのゲームを趣味で5年ほど続けているため、選手名は自然と覚えた。ひと昔前の選手も含め、いろんな選手を集めてチームを強くしながらシーズンを戦うゲームだ。

 ゲームとはいえ、選手のタイプや能力が細かく設定されており、かなり本格的だ。バトラー(ヤンキースFA)やハワード(フィリーズFA)などの強打者ばかり並べていた頃は、なかなか勝てなかった。そこでロリンズ(ジャイアンツ)、アルテューベ(アストロズ)、イチロー(マーリンズ)といった俊足をそろえてガンガン盗塁するようにしたら、勝てるようになった。

 大リーグで野手の総合力を表す際にOPSという数値が使われる。出塁率+長打率(=塁打数÷打数)で計算され、0・900を超えれば一流だが、盗塁の能力は反映されない。イチローが単打で出塁して二盗、三盗を決めれば結果的に三塁打と同じになるものの、あくまで塁打数は1だ。スマホゲームでも変化球のときに盗塁成功率が上がる。例えば、ヤンキースとの試合で俊足のガードナーに出塁を許したとする。盗塁のプレッシャーを感じて直球を続け、Aロッドやテシェイラにガツンと本塁打を打たれるという失敗を繰り返してきた。

 昨年までロッテ担当をしていたが、伊東監督が優勝した日本ハム打線について「走れる選手が何人も並んでいるから、プレッシャーが全然違う。うちは走れる選手が少ないからな」と話していたのが印象的だった。昨季の盗塁数はロッテが77(リーグ5位)、日本ハムが132(同1位)。相手に与える「プレッシャー」までは数字で表せないから、野球は奥が深いなと思う。

 ゲームの操作にも慣れて自軍もほとんど負けないほど強くなり、ヘルナンデス(マリナーズ)やダルビッシュ(レンジャーズ)で完全試合も達成した。マカチェン(パイレーツ)でサイクル安打も記録した。ただ、どうしてもできないのが、リーグ戦(ゲームでは41試合)からワールドシリーズまで全勝で優勝すること。相手投手がプライス(レッドソックス)やバーランダー(タイガース)だと100マイル(約161キロ)の速球に振り遅れ、盗塁以前に出塁すらできない。いつの時代も、どこの国でも、球が速い投手が最も打ちにくいという意味では、野球は単純だなとも思う。(記者コラム・渡辺 剛太)

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2017年1月11日のニュース