【大野豊の大分析 走塁編】初回に菊池憤死も…広島 失敗恐れない姿勢浸透

[ 2016年10月24日 11:30 ]

SMBC日本シリーズ2016第2戦 ( 2016年10月23日    マツダ )

<広・日>2回1死一塁、小窪の右中間二塁打で一塁から一気に生還するエルドレッド。右は増井
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 広島は、またも機動力を生かした攻撃で打線がつながって連勝した。大野豊氏(スポニチ本紙評論家)は、失敗を恐れぬ積極果敢な走塁が得点を生み出したと分析する。広島と同じく機動力やつながりが持ち味の日本ハム打線だが、広島バッテリーの内角を意識させる投球に精彩を欠いた。(構成・内田 雅也)

 攻撃的と言える広島の積極果敢な走塁が得点を生み出した。2回の先制点は、一塁走者エルドレッドを打者小窪のフルカウントから走らせた。ランエンドヒットだが、足の遅いエルドレッドのため、空振りでの三振併殺のリスクも当然ある。それでも広島ベンチは「小窪なら何とかしてくれる」との信頼感があったのだろう。小窪は期待に応え、エルドレッドも懸命に走って生還した。

 決勝点も足が生きた。無死二塁から、菊池がバスターで遊撃左をゴロで抜いた左前打で田中が生還した。目の前のゴロでスタートが遅れた田中だが果敢に三塁を蹴った。一度はアウトとされた判定がリプレー検証で覆る間一髪のタイミングだった。俊足田中のスピードはもちろん、回り込んだスライディングの巧みさでタッチをかいくぐった。

 この失敗を恐れぬ果敢な姿勢は開幕当初からチームに浸透して根付いている。河田三塁コーチも果敢に「ゴー」を指示していた。確かに失敗もあった。初回は菊池が右飛で三塁から本塁を狙って憤死。8回はワンバウンド投球で三塁を狙って憤死したが、前を向いての憤死については、さほど責めない空気がベンチにはあるのだろう。常に次の塁を狙う姿勢が試合を動かしている。

 持ち味の打線のつながりは第1戦の2、4、7回、この試合の6回と回の先頭打者が出れば得点に結びつける攻撃にも見られる。走者ならば次の塁へ、打者は次の打者へ…という意識が得点を呼んでいる。日本ハム打線も本来は機動力やつながりが持ち味なのだが、この2試合に限っては、その長所を見せられずに終わった。(スポニチ本紙評論家)

 ▼広島・河田外野守備走塁コーチ(三塁コーチで田中に本塁突入を指示)もう少し余裕があると思っていたけど西川とか、初回の近藤(右翼からバックホーム)とか、昨年(西武コーチとして)見ていたよりも強い送球をしてくるし、僕の中の印象を訂正しないといけないかな。

 ≪第2戦の広島の積極走塁≫

 <ケース(1)>初回1死三塁から松山がライナー気味の右飛。三塁走者の菊池はスタートが遅れるも本塁を狙い憤死。

 <ケース(2)>2回1死一塁。フルカウントから一塁走者・エルドレッドがスタート。小窪の右中間二塁打でランエンドヒットの形となって先制。

 <ケース(3)>6回無死二塁で二塁走者の田中がスタート。菊池の浅い左前打で本塁突入。好スライディングで決勝点。

 <ケース(4)>8回1死一、二塁。鈴木の打席でメンドーサのワンバウンドの投球を捕手がはじいたのを見て二塁走者の菊池は三塁を狙うも憤死。

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