【大野豊の大分析 リード編】石原への信頼 広島バッテリーの内角攻め

[ 2016年10月24日 11:33 ]

SMBC日本シリーズ2016第2戦 ( 2016年10月23日    マツダ )

<広・日>9回1死一、二塁、中崎は代打・大谷を空振り三振に打ち取る。捕手・石原
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 日本ハムの長所を消したのは、広島バッテリーの攻め方にある。特に感心するのは捕手・石原のリードだ。

 前夜のジョンソンのカットボール、この夜の野村のツーシームと内角球を巧みに使い、相手打者に内角を意識させた。象徴的だったのは中崎が登板した9回1死一、二塁。代打で登場した大谷への配球だ。外角スライダーから入って内角速球で詰まらせてファウル。内角を意識させ、最後も内角速球で空振り三振に仕留めた。

 投手は石原を信頼しているからこそ、要求されたコースに投げきることができる。先に書いたように、日本ハムに機動力を使わせず、つながりを断つ、という点では回の先頭打者を打ち取り、走者を背負っても決して慌てない投球ができている。これも石原への信頼があるからだろう。

 対する日本ハム・大野のリードはどうだろう。増井は立ち上がり速球とフォークばかりで、まるで抑え投手のように切羽詰まった投球だった。先発転向後の長所だったカーブ、スライダーの緩い球を投げ出したのは3回からだった。

 また細かなことだが、機動力封じで、野村には工夫が見られた。2回と4回、セットしてからボールを長く持ち一塁へけん制球を放った。これまではほとんど見られなかった“長持ち”けん制。情報収集をしていたならば、走者はスタートするのに戸惑う。実際に走者スタートの局面はなかったが、細心の注意が見えた。(スポニチ本紙評論家)

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