伝説の走塁、先輩石毛への一喝 妥協なき男・辻新監督は適任者

[ 2016年10月4日 08:10 ]

笑顔で質問に答える辻新監督
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 【辻発彦という男】

 西武の黄金時代を支えた辻が、監督として21年ぶりに戻ってきた。3年連続してBクラスに沈んだチームの立て直し。容易なことではないが、現役時代の辻を知る記者には適任者だと思う。

 就任会見で「自分に厳しくやってきた」と言う通り、辻には“妥協”という二文字はない。1980年代、強い西武の中で石毛とともにリーダーを務めてきた。時には年上の石毛にすら「ちゃんとやってくださいよ」と言える男だった。首脳陣の意図を把握し、若手に気の緩みがあれば叱り、自ら率先して先頭に立った。

 辻で思い出すのが87年、巨人との日本シリーズ。秋山の中前への単打で一気に一塁から生還した“伝説の走塁”だ。これは首脳陣の「クロマティの緩慢な動きに隙」を頭に叩き込み、決してスピードを落とさなかった辻の野球に対する姿勢が詰まっている。

 今季の失策は101。このことを聞かれ「絶対捕るんだという本人の気持ちが大切」と言った。いわゆる“球際”。データも含め、あらゆる準備をして守備に就いた辻だから、きっと改善される。守りから入り、機動力を生かす。相手が気がついたら負けていたというチームづくり。辻ならできると信じている。

 髪に白いものが目立つようになったのは歳月が過ぎた証拠。お帰り、辻監督。 (落合紳哉スポニチ特別編集委員=86~92年西武担当)

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2016年10月4日のニュース