イチロー 史上30人目のメジャー通算3000安打は野球人生の集大成

[ 2016年8月8日 08:26 ]

メジャー3000安打の金字塔を達成したイチローは観客の声援にヘルメットをとって応える(AP)

ナ・リーグ マーリンズ10―7ロッキーズ

(8月7日 デンバー)
 マーリンズのイチロー外野手(42)は7日(日本時間8日)、米コロラド州デンバーでのロッキーズ戦で7回に右越え三塁打を放ち、史上30人目のメジャー通算3000安打を達成した。27歳だった01年にメジャーの扉を叩いてから16シーズン目。米野球殿堂入りの大きな目安とされる節目に達した。今年6月には、日米通算でピート・ローズの持つ4256安打の最多安打記録を更新した天才打者が、野球人生の集大成ともいえるマイルストーン(記念碑)を打ち立てた。

 ついにこの瞬間が訪れた。8―6で迎えた7回の第4打席。1死無走者で左腕ルーシンのカットボールを叩いた打球は右翼フェンス上部に直撃した。イチローは三塁へ。約150年の長いメジャーの歴史でも過去29人しかいなかった通算3000安打。三塁打での達成はポール・モリター以来、史上2人目だ。アジア出身として初めて、イチローが重い扉を開けた。

 7月28日のカージナルス戦で2998安打目を放ったが、その日を最後に快音が消えた。記録の重圧か、7試合11打席ノーヒット。この間、先発は1試合だけで、代打での起用が続いた。それでも、その1打席のために毎日、入念に準備した。「1打席で2本は打てない。周りはいろいろ騒ぐけど、僕は変わらない。もう何回もこういうことを経験している」。カウントダウンに来て、少し時間はかかったが、イチローのスタンスが変わることはなかった。

 6日のロッキーズ戦で2999安打目の安打を放つと、7試合ぶりのスタメンとなったこの日は第4打席で決めた。

 オリックスで数々の記録を樹立してきた日本球界の至宝が、メジャーにデビューしたのは01年4月2日。27歳の時だった。そこから安打を量産。04年には262安打の年間最多安打記録を樹立し、10年まで前人未踏の10年連続200安打をマークした。ただ近年は先発での出場機会が減り、苦しんだ。ヤンキースを経て、マーリンズに加入した昨季はプロ自己ワーストの打率・229。「数字は目を疑うもの」と屈辱的な成績に終わった。

 だが、天才は今季、力強く蘇った。「第4の外野手」として出番は限られたが、打席に立てば結果を残した。6月15日のパドレス戦では、日米通算でピート・ローズのメジャー記録4256安打を上回った。規定打席には足りないが、打率は3割を超え、かつての安打製造器の姿が戻った。

 ここが終着点ではない。「50歳まで現役」と周囲に公言してはばからないイチロー。いくつもの常識を覆してきた男の戦いはまだ続いていく。

 ◆イチロー(本名・鈴木一朗=すずき・いちろう)1973年(昭48)10月22日、愛知県生まれの42歳。愛工大名電時代は投手として甲子園に出場し、ドラフト4位で92年にオリックス入団。94年にプロ野球初のシーズン200安打を突破するなど、00年まで7年連続首位打者。ポスティングシステムで01年に大リーグのマリナーズ入団。同年にMVPや首位打者、最多安打、盗塁王、新人王など総なめ。04年にはメジャー新記録となるシーズン262安打をマークした。12年途中にヤンキースへ移籍し、15年からマーリンズ。1メートル80、78キロ。右投げ左打ち。

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