佐久長聖・安藤 両耳難聴も…しっかり聞こえた聖地の歓声

[ 2016年8月8日 09:47 ]

<鳴門・佐久長聖>甲子園の砂を集める安藤(左)

第98回全国高校野球選手権大会第1日・1回戦 佐久長聖2―3鳴門

(8月7日 甲子園)
 仲間を信じて、最後までブルペンで肩をつくった。だが、最終回は3者凡退で1点差の惜敗。思いは届かなかった。佐久長聖の背番号17・安藤は甲子園の土をかき集め、泣きじゃくった。

 生まれつき両耳が聞こえない、先天性感音性難聴を抱える。右耳に付ける人工内耳は「野球をやって右打者になったら(死球が)当たらないようにと、親が考えてくれた」。人工内耳のおかげで、会話もできる。だから手話は覚えていない。「人と話すときは口の動きを見て何を言っているのかが分かる」。洞察力は野球にも生きた。

 長野大会では登板時に汗で装置が故障するハプニングもあったが、仲間は大きなジェスチャーで励ましてくれた。「助け合ってきたし、3年間楽しかった。みんなにありがとうと言いたい」と感謝した。聖地では登板機会はなかったが、大学でも野球は続ける。将来の夢は野球関係の仕事に携わることだという。

 最高の仲間と過ごした最後の夏。甲子園の歓声は「初めての経験で、凄かった」と、しっかり聞こえた。(川島 毅洋)

 ◆安藤 北斗(あんどう・ほくと) 1999年(平11)1月8日、神奈川県生まれの17歳。小1から日吉レッドファイターズで野球を始め、日吉台中では鶴見リトルシニアに所属。佐久長聖では2年秋からベンチ入り。今夏長野大会では3試合に登板した。1メートル70、69キロ。右投げ右打ち。

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