【斎藤隆のパドレス留学記】最先端バーチャルマシンでマー君と対戦

[ 2016年7月20日 11:00 ]

マー君とバーチャル勝負

 先日、ヤンキースの田中と対戦しました。といっても、バーチャルの世界です。パドレスの球団幹部に球場内の室内ケージに呼ばれ、「やってみるか?」と渡されたのは特殊なゴーグルとバット。それらはパソコンとつながっており、投手のデータを入力すると、実際の球速、持ち球、さらに変化球の軌道までを忠実に再現した3D映像の投手と対戦できるのです。

 ゴーグルを装着すると、目の前にいきなり投手が現れます。「顔は全然、田中に似てないぞ」と思わず突っ込んでしまいましたが、そうこうしているうちに第1球。いきなり足元にスライダーが食い込んできて、なんと死球!周りは大爆笑で、どうやら開発した会社の人が間違えて「右打者」の設定にしていたようです。気を取り直しての再戦。結果は「バーチャル田中」の前に空振り三振に倒れました。

 まるでゲームのようなバーチャルマシンですが、既に導入している球団もあるそうです。私の感想は3D映像がまだ雑な感じで、投手は実際よりも小さく見えるし、ゴーグルをしているので視野も狭く、顔の角度によっては映像が見づらい時もあります。ただ、可能性は感じました。捉えた時は打球方向や飛距離が瞬時に表示され、空振りした時はどのぐらいボールとバットが離れていて、どのぐらいタイミングが遅れていたのかも分かる。これには驚きました。

 まだ開発は初期段階だと思いますが、よりリアリティーを増すようになれば、近い将来、3D映像で打撃練習をする日が来るかもしれません。容姿や投球フォームだけでなく、グラブの色なども現実に近づける。それはメンタル面の強化にも有効ではないかと考えます。例えば苦手投手と対戦する時は、対戦前から精神的に追い込まれていることが多い。それが普段からバーチャルの世界で対戦していれば、慣れてくるし、「これだけボールから離れていた」などと数字で出てくるので、打てない理由は単純に技術的な問題なんだと理解することもできます。

 MLBの技術革新は驚くべきスピードで進んでいます。初体験のバーチャルマシン。今や1兆円規模とも言われているMLBビジネスの一部に触れた気がしました。(パドレス編成本部付インターン)

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2016年7月20日のニュース