大谷MVPが残した球宴の課題 ファンの声と選手負担のバランス

[ 2016年7月20日 09:10 ]

オールスター第2戦でMVPを獲得した日本ハム・大谷

 今年のオールスターは日本ハムの大谷翔平投手が話題をさらった。15日の第1戦(ヤフオクドーム)では、試合前のホームランダービーで優勝。第2戦(横浜スタジアム)では「5番・DH」で先発出場し、左中間へ球宴初アーチを描いて、MVPを獲得した。

 野手としての出場を了承した12球団と日本野球機構(NPB)の決断なくして、この結果は生まれなかった。投手としてのファン投票選出。しかし10日のロッテ戦で右手中指のマメをつぶした。投げられない。辞退なら、後半戦10試合出場できないとのペナルティーを受ける。公平性という観点からすれば、日本ハムも、声を大にして野手出場を訴えるわけにもいかない。前半戦、打者として素晴らしい成績を残して証明した大谷本人の力、ホームランダービーに1、2戦ともに選出したファンの後押しも、必要不可欠な要素だった。

 これだけの活躍を見ると、来季のオールスター戦には「大谷ルール」の創設は不可欠になる。

 (1)ファン投票用紙に「投手」「DH」のダブル記載は可能か。

 過去に例はない。今年も大谷は投手部門だけだった。だがそれは、4月下旬に投票用紙に記載するメンバーが各球団からの提出によって決まっていたこともある。大谷が5試合連続本塁打したのは、5月に入ってからだった。来年は、実績からいって、ダブル記載も検討されるだろう。

 (2)「投手」「DH」でファン投票1位になった場合の措置。

 複数ポジションで1位だった場合、得票数の多い方での選出とされる。ただこの規定を想定しているのは「野手」と「DH」だ。守備につくかつかないかだけの問題で大差はなかったが、「投手」と「DH」では事情が違う。単純に「得票数の多いポジション」で良いか。片方の票が「死に票」となる可能性がある。「両方1位で投手、野手で出場すればいいのでは?」との意見もあるが、今度は「ファン投票選出の野手は2試合とも出場」の規定との兼ね合いが出る。大谷への負担を減らすための措置は検討しなければならない。

 さらに…。

 (3)ホームランダービーと試合の兼ね合い。

 今回は野手出場で、ホームランダービーに1、2戦ともに出場したが、先発投手だった場合にどうするか。登板当日に本塁打競争は無理であろう。今回も先発した場合に備え、当日の本塁打競争回避も水面下では検討されていたという。

 ファンの「見たい」との声と、選手の負担のバランスを考えてのルール作りは、意外と難しい作業になる。(記者コラム=倉橋 憲史)

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2016年7月20日のニュース