【神奈川】横浜1年生・万波135メートル弾「ブラッグスだ!」

[ 2016年7月20日 05:30 ]

<横浜・松陽>2回無死、中越えソロを放った横浜・万波

第98回全国高校野球選手権神奈川大会3回戦 横浜12―0松陽

(7月19日 横浜)
 第98回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の地方大会は19日、30大会で172試合が行われた。神奈川大会では横浜の万波中正外野手(1年)が松陽との3回戦で横浜スタジアムの大型ビジョンを直撃する公式戦初本塁打を放ち、12―0で5回コールド勝ちした。千葉大会では東京学館浦安の黒田航平投手(3年)が敬愛学園との4回戦でノーヒットノーランを達成。20日は20大会で73試合が行われる。

 力強いライナーがバックスクリーンに向かって伸びていく。勢いは増し、次の瞬間、横浜スタジアムの大型ビジョン内にあるコカ・コーラの広告を直撃した。推定135メートルの特大アーチに球場がどよめく中、万波は手を叩き、大喜びでダイヤモンドを回った。

 「夏に何とか1本打ちたかったのでうれしい」。公式戦初本塁打は2回先頭の打席。真ん中低めの直球を捉えた。「タイミングは遅れたけど、真芯で捉えられたからボールがつぶれて、あの弾道(ライナー)になった。完璧でした」。プロでもめったにお目にかかれないハマスタのビジョン弾。昨季、ソフトバンク・柳田がDeNA戦でビジョンを破壊する150メートル弾を放ったが、16歳は「まだまだ飛ぶと思う。柳田さんのところまで飛ぶように頑張りたい」と言うから末恐ろしい。

 高校通算は4本目。「夏前に調子を崩していたのでホームランが出なかった」と振り返るように本数としては少ないが、練習では規格外の打球を飛ばしている。横浜市内の練習グラウンド(両翼95メートル)。右翼は左の強打者だった筒香(現DeNA)対策で高さ10メートルの防球ネットが設置されているが、左翼は7メートルと低い。万波の打球がそのネットを軽々と越えて車道に飛び出してしまうため、今後はネットを高くすることが検討されている。

 コンゴ出身の父と日本人の母の間に生まれ、1メートル90、92キロの恵まれた体格。1年生の怪物スラッガーを視察した西武の渡辺久信SDは「体格が凄い。横浜にいたブラッグスみたいだね」と評し、「今でもドラフトにかかるよ」とまで言った。大リーグ・ブルージェイズのダン・エバンス統括部長も「あれで16歳か?素晴らしいバッターだ」と驚きを隠せない。

 万波は2安打で初戦に続き、2試合連続のマルチ安打を記録。チームも2戦連続のコールド勝ちで快勝し「まだいける。これからもどんどん打ちたい」と意気込んだ。「万波伝説」はハマスタから始まった。(松井 いつき)

 ◆万波 中正(まんなみ・ちゅうせい)2000年(平12)4月7日、東京都生まれの16歳。小2から野球を始める。中学では東練馬シニアに所属し、3年時にエースとして全国4位。陸上部にも在籍し、1年時に100メートル障害で都大会2位。3年時は砲丸投げで都大会を制し、全国大会出場。横浜高では1年春の県大会からベンチ入り。遠投105メートル、50メートル走6秒3。1メートル90、92キロ。足のサイズは30センチ。右投げ右打ち。

 ☆グレン・ブラッグス 米国出身の外野手でメジャー通算70本塁打の実績を引っ提げ、93年に横浜に入団した。1メートル93、100キロの右のパワーヒッターで主に4番として活躍。94年は4月29日ヤクルト戦(横浜)で左翼場外に150メートルの特大弾を放つなど35本塁打を放った。日本通算91本塁打。気性が荒く乱闘による2度の退場処分もあった。死球による膝の故障が原因で96年に現役引退。

 ▽プロ野球の横浜スタジアムでのビジョン直撃弾 巨人・松井秀喜は96年8月15日の横浜(現DeNA)戦、斎藤隆から140メートルの特大アーチ。打球はスコアボードの文字を直撃し、電球を破壊した。最近では15年6月3日のDeNA戦でソフトバンク・柳田が150メートル弾で大型ビジョンを破壊。電球の入れ替えで試合が中断する場面もあった。また、日本ハム・大谷が6月22日の練習で4発のビジョン弾を放った。

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2016年7月20日のニュース