何度も両親に連絡…巨人・立岡 届け3安打「今こそしっかり」

[ 2016年4月17日 05:30 ]

<巨・広>(左から)長野、クルーズらと勝利の輪に加わる立岡

セ・リーグ 巨人6―5広島

(4月16日 東京D)
 熊本に勇気を!巨人の立岡宗一郎外野手(25)が16日の広島戦で今季4度目の猛打賞をマーク。地元・熊本は予断の許さない状況が続いているが、リードオフマンとしてチームをけん引した。福岡県出身の村田修一内野手(35)も3回に今季1号アーチを放ち、前回零敗を喫した黒田博樹投手(41)を攻略。広島を抜いて単独首位に浮上した。なお、巨人は地震の影響で、19日に熊本、20日に鹿児島で予定していた中日戦を中止すると発表した。

 不安と、もどかしさを抱えている。勝利に貢献する3安打を放った立岡は、駐車場に続く通路で足を止めた。その心中を吐露するためだった。

 「僕は野球しかできない。心配ですけど、今こそしっかりやらないといけない。何とかしたいという思いがあって、もう一度火が付いた」

 3―1の2回先頭。1ストライクから黒田の2球目を狙った。真ん中低めのフォークを左前打し、ギャレットの右中間二塁打で生還。黒田には2日の広島戦(マツダ)で4打数無安打だっただけに「極端ですけど、甘めに来たら飛びついていくくらいでないと攻略できない」と、追い込まれる前に早めの勝負を仕掛けた。チームとしてもファーストストライクを積極的に狙い、黒田から5回までに8安打6得点。立岡は6回に左翼線二塁打、8回は左前打し、四球を加えて4出塁で1番の役割を果たした。

 14日の地震から、眠れない日々が続く。熊本市から南西約60キロにある芦北(あしきた)町出身。16日午前1時25分頃に起きた「本震」の直後には、すぐさま両親に安否確認の電話を入れた。「家の中はひどいことになっている」と心配し、朝起きると再度連絡を取り合った。母校・鎮西高のグラウンドも震度7を記録した益城町にある。試合前に球場内で行った募金活動に参加。「こういうときだからこそ浮き沈みがあってはいけない」と一球一球に集中した。

 今季1号を放った村田も、特別な感情があった。4―4の3回。右翼席へ一時勝ち越しのソロを放つと三塁ベースを回り、雄叫びを上げた。自身は福岡出身だが、父方の実家は熊本市東区沼山津。親戚の家が半壊し、駐車場に止めた車で寝泊まりしているという。19日に予定されていた熊本での中日戦は中止が発表された。「久しぶりだったので親戚も(野球観戦を)楽しみにしていたと思う。何かをできるわけではないけど(プレーを)見て(元気になって)もらえれば」と思いやった。

 その思いは全員に共通する。単独首位に返り咲いた高橋監督は「本当に大変なんだろうと思う。何か協力できることはしていける」とかみしめた。熊本、鹿児島での2試合は中止となったが、楽しみにしていた巨人ファンには、勝利が支援になる。 (神田 佑)

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