ハム加藤 新人初勝利一番乗り “超省エネ”6回69球無失点

[ 2016年4月17日 05:30 ]

<日・ロ>試合後、井口(右)からウイニングボールをもらう加藤(左)

パ・リーグ 日本ハム8―2ロッテ

(4月16日 札幌D)
 満員に膨れ上がった札幌ドーム。初めてのお立ち台で日本ハムのドラフト2位ルーキー・加藤が頬を緩ませた。

 「いいっすね。ちょっとあがってます」。プロ初勝利がパ・リーグ新人一番乗りだと聞くと「えっ…今、知りました」とおどけた。

 左腕から最速140キロの直球に加え、「僕の生命線」というフォーク、カーブ、スライダーでロッテ打線を封じた。初回こそ20球を要したが、その後は持ち前の打たせて取る投球を取り戻した。3回以降は全て1イニング10球以内に抑え、6回4安打無失点、わずか69球の超省エネ投球だった。

 北の大地での初勝利。不思議な運命だった。新日鉄住金かずさマジックでの社会人4年目の14年6月。JABA北海道大会準決勝・NTT東日本戦(札幌円山)で7回から救援し、延長12回の末に敗れた。その日の夜。鈴木秀範監督の宿舎の部屋に呼ばれ「人間的に成長しないと上(プロ)でやれないぞ!」と激しく叱責(しっせき)された。加藤はその場で号泣。「天狗(てんぐ)」になっていた自らを悔いた。

 その年の秋、仁川アジア大会の日本代表にも選ばれたが「(プロは)まだ自信がない」とチームに残留。「1年残留することによって、周りが見られるようになった」。心身ともに成長し、満を持してのプロ入りだった。

 拓大紅陵時代は投手ながら、野手として新日鉄住金かずさマジック入りした異色の経歴の持ち主。有原の離脱で急きょプロ初先発を務めた9日の楽天戦(コボスタ宮城)は2回もたずKOされたが、今回は「一人一人に全力投球を心掛けた」と無欲で勝利をつかんだ。栗山監督も「よくあそこまで投げてくれた」と孝行息子の誕生に頬を緩めた。 (柳原 直之)

 ▼加藤の父晃生さん(52) 近所の人が次々家に来てくれてヒーローインタビューは30人ぐらいで見ました。まさかこんなに早く初勝利を挙げるとは。プロは厳しい世界ですから、もうひと踏ん張り、ふた踏ん張りして信用される投球をしてほしいです。

 ▼新日鉄住金かずさマジック・鈴木秀範監督 試合後に加藤から電話をもらいました。1勝目も、長い旅の始まり。栗山監督に感謝してやっていけば結果はついてくる。チームに必要とされる選手であってほしい。

 ≪加藤 貴之(かとう・たかゆき)≫

 ☆生年月日 1992年(平4)6月3日、千葉県出身の23歳。

 ☆サイズ&投打 1メートル82、82キロ。左投げ左打ち。

 ☆球歴 エースとして臨んだ拓大紅陵(千葉)3年夏の県大会では4回戦で敗れ甲子園出場はなし。野手として新日鉄住金かずさマジックに入るが、2年目の夏に投手に再転向。13年日本選手権では準決勝に続き、決勝でも勝利投手になり初優勝に貢献した。

 ☆テレビ好き 寮には40インチの大画面テレビを持参。好きな番組はテレビ朝日系「アメトーーク」で「“大谷翔平スゴイんだぞ芸人”は3回見ました」。

 ☆酒好き 特に日本酒を好み、好きな銘柄は「獺祭(だっさい)」(旭酒造)。「ご飯の時はビール2杯いってから、日本酒にいきます。水と一緒です」

続きを表示

この記事のフォト

2016年4月17日のニュース