黒田41歳慢心なし 新球挑戦の理由「相手も研究してくる」

[ 2016年2月18日 06:17 ]

新球チェンジアップを試投するなどブルペンで66球を投げ込んだ黒田

 広島・黒田博樹投手(41)が17日、日南キャンプ合流2日目にして初めてブルペンに入った。全66球の中で、新球として習得に励むチェンジアップを10球披露。投球に緩急をつけるための新たな挑戦だ。エースだった前田健太投手(27)がドジャース移籍で抜けた投手陣の大黒柱。25年ぶりの優勝への期待を背負うレジェンドは、旺盛な向上心で復帰2年目の「違い」を見せる。

 9年ぶりの天福球場の室内ブルペン。キャッチボールを終えた黒田が、キャンプ合流2日目に初めて傾斜の上に立った。捕手が立った状態で16球、座って50球の計66球。「体の開きが早くなるから」とスライダー、スプリットは封印し、直球、ツーシーム、カットボール、カーブに加え、習得に励む新球も10球試投した。チェンジアップだ。

 「毎年トライしている。(復帰)2年目になると相手も研究してくる。(球種は)多ければ多いに越したことはない。進化しないといけない」

 広島復帰1年目はメジャーで習得した武器、変化球をボールゾーンからストライクゾーンへと曲げる「フロントドア」や「バックドア」を活用して11勝をマークした。日本球界ではまだ珍しい球の軌道で打者を惑わせたが、今度は球種自体を増やす試み。7つ目の球種の狙いを「打者との距離感を変えたい。緩急は大事」と説明した。

 実は07年までの広島在籍時にも習得を試みたことがあった。未完成に終わった球への再挑戦だ。同じ縦変化のスプリットは低めのボールゾーンで空振りを狙うが「チェンジアップはストライクゾーンに投げられる」。相手打者の頭にない120キロ前後の球を操れれば、見逃しのストライクが増える。組み立ての幅はさらに広がる――。畝投手コーチは「(前年まで)使っていたもの以上じゃないと通用しないと思っている。それが黒田」と探求心に舌を巻く。

 昨年は2次キャンプ地の沖縄でチームに合流。悩んだ末に現役続行を決断した今季は「長くお世話になった日南に一度も顔を出さないわけにはいかない」と、9年ぶりに日南のファンに元気な姿を見せた。18日に沖縄に移動し、今後は実戦を意識した段階に入る。新球については「(まだ)実戦で使える状態ではない。使えないなら(どこかで)見切りをつけないと」と、打者の反応を見ながら持ち球に加えるかを判断するが、中日・井本直樹スコアラーは「横の変化が多いが、チェンジアップは縦の変化で動かない球。やっかいだね」と警戒した。

 今季はプロ20年目。昨年までのエース・前田が抜けた穴は大きいが、91年以来となるチームの優勝だけを見据える。残り7勝に迫った日米通算200勝を通過点とし、41歳が白星を重ねていく。

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