松井裕 成長支えた有村架純の「言葉」 今年も胸に…40S目指す

[ 2016年2月15日 09:05 ]

女優の有村架純から楽天・松井裕に贈られたサイン色紙

 辛いとき、悩んだとき…。何度、助けられたことだろう。仙台市内の楽天・犬鷲寮。松井裕樹の自室には一枚のサイン色紙(写真)が飾られている。大ファンでもある有村架純の直筆コメント入り。「僕の家宝。一生、大切にします」と言う。

 記者は12年から14年まで楽天を担当した。松井裕はチームが日本一に輝いた13年のドラフトで5球団競合の末に楽天入り。翌14年2月の沖縄・久米島キャンプでは話題を独占していた。ある日のチーム宿舎での雑談。松井裕に「好きな芸能人は?」と聞くと、はにかみながら「有村架純さんです」と言った。桐光学園2年夏の甲子園で1試合22奪三振を奪った怪物左腕も球場を離れれば普通の18歳(当時)だった。

 オープン戦でも結果を残し開幕ローテーション入り。だが、高卒新人は周囲への気遣いや連日のメディア対応で心身とも疲弊していた。開幕後はセットポジションで制球難を露呈し4戦3敗で4月下旬に2軍落ち。当時は周囲に「もう取材は受けたくない」と話すほど精神的に落ち込んでいた。本人いわく「野球人生最大の挫折」。それでも持ち前の向上心は失わなかった。周囲にクイックやけん制の教えを請い、6月上旬に1軍復帰。7月2日のオリックス戦(京セラドーム)で中継ぎながら初勝利を挙げた。周囲の支えに感謝し、精神面も成長した18歳はメディアの前でも明るい表情を見せるようになった。

 必死に、一歩ずつ、プロの階段を上がる松井裕に関係者からプレゼントが届いたのは同年9月。業界は違うが、同じく飛躍を目指していた女優の有村架純から「一緒に頑張りましょう!」というコメント入りのサイン色紙が届いた。プロ1年目は4勝止まり。2年目の昨季はチーム事情もあり先発から抑えに転向して球団新記録の33セーブを挙げた。順風満帆なプロ生活ではないが、チームメート、スタッフ、そして「有村架純」にも支えられて日々成長している。

 現在、楽天は沖縄・金武町で練習を行っている。松井裕は連日のようにブルペン投球を行うなどフォーム固めに余念がない。「去年は有村さんのサインを見て何度も勇気をもらった。今年も助けてもらうかもしれません」。20歳の守護神は有村架純の「言葉」を胸に目標の40セーブを目指す。(記者コラム・山田忠範)

続きを表示

2016年2月15日のニュース