イチロー 流し打ちでカッブに並んだ!バットとボールは米野球殿堂へ

[ 2015年8月16日 05:30 ]

<カージナルス・マーリンズ>5回、左前打を放つイチロー(AP)

ナ・リーグ マーリンズ1―3カージナルス

(8月14日 セントルイス)
 マーリンズのイチロー外野手(41)がカージナルス戦に「7番・右翼」で先発出場し、5回に4試合連続安打となる左前打。日米通算4191安打(日1278、米2913)とし、「球聖」と呼ばれた、メジャー歴代2位のタイ・カッブ(タイガースなど)に並んだ。本人はコメントしなかったが、ダン・ジェニングズ監督(54)は偉業を称賛。残るターゲットは、通算4256安打のピート・ローズ(レッズなど)だけとなった。

 イチローらしい鮮やかな流し打ちの打球が、左翼前に弾んだ。0―0の5回2死。左腕J・ガルシアに2ストライクと追い込まれながら、4球目のスライダーを完璧に捉えた。日米通算4191本目の安打。20世紀初期に活躍したタイ・カッブに並んだ瞬間だった。

 敵地ブッシュ・スタジアム。日米合算の記録でもあり、電光掲示板には何の表示も出ない。しかし、スタンドから歓声が上がり、さざ波のように広がっていった。セントルイスは、04年にイチローに抜かれるまで年間安打記録を保持していたジョージ・シスラーもプレーした米国を代表した野球の町。イチローの偉業を知っていたのだ。

 9回2死一、二塁では三飛で最後の打者となり、この日は1安打止まり。試合に敗れたこともあり、イチローは口を開かなかったが、代わってジェニングズ監督が記録の偉大さを熱く語った。

 「彼にとってスペシャルな夜だった。タイ・カッブに並んだことで、彼がどんなキャリアを歩んできたかが分かる。彼は将来の殿堂入り選手。それははっきりしている」

 日米通算記録に関しては、米国内でもさまざまな論調があるが、4191本の安打を積み上げてきたイチローの足跡を否定する者は誰もいない。その証拠に、バットとボールは即座に回収された。MLBを通して、米国野球殿堂に贈られる。

 今から100年以上前に活躍したカッブには、こんなエピソードがある。カッブの打撃練習を見ようと集まってきた相手チームの選手に対し「きょうは調子が悪い。どこに飛ぶか分からないから安全なベンチに避難してくれ」と言い放つと、11球連続でベンチ方向にファウルを飛ばし、ダーツのように1人ずつ当てていったという。巧みなバットコントロールはイチローとも共通している。

 8月は出場11試合中、10試合で安打を放ち、打率・333。来季はメジャー歴代1位のピート・ローズの4256安打も視界に入れる。「人々が永遠にカッブやローズの名前を口にするように、これからはイチローも同じ領域の中で語られていく」とジェニングズ監督。数々の記録をつくってきた背番号51が、ついに「神の領域」に足を踏み入れた。(セントルイス・奥田秀樹通信員)
 

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