能見 復活6勝!背水マウンドで7回1失点 巨人に0差

[ 2015年7月15日 05:30 ]

<神・広>力投する能見

セ・リーグ 阪神5―2広島

(7月14日 甲子園)
 背水マウンドで復活した。阪神・能見篤史投手(36)が14日の広島戦(甲子園)で7回6安打1失点の好投で3試合ぶりの6勝目をマークした。2試合連続KOされ、結果次第ではローテーションを外れることも検討された崖っぷちで、踏ん張った。チームも5割に復帰し、15日も勝って首位&貯金ターンだ!

 登板数日前、普段からポーカーフェースを貫く能見が、珍しく悲壮感を漂わせながら言った。

 「もう追い込まれているから。余裕はない」

 直近2試合で計10失点し、ともに6回持たずに降板。精彩を欠く内容に中西投手コーチからも「次の広島戦を見て考える」と結果次第で2軍再調整を示唆されていた。厳しい状況に追い込まれていることは自覚していた。ローテ落ちの危機に直面したマウンドで「マイナス(な気持ち)にならないようにした」と逆境を力に変えた。

 「うまいこと緩急を使って投げられた。初回に点を取ってもらって、3回に1点取ってもらってこっち主導権でゲームが運んだのが大きかった」

 粘投だった。初回から走者を背負うなど、苦しい投球を強いられながら、タイミングを外すチェンジアップなど変化球が冴え渡り、要所で踏ん張ることができた。

 「持ち味なので」と序盤から内角へ強気に直球を投げ込み、気持ちで負けなかった。マートンと上がったお立ち台では、「打たれ出したら止まらないので自分の中でどうしたものかと思っていた」と自虐的に振り返った過去2試合の姿から見事に“変身”を遂げた。

 3者凡退は1度だけで、楽にアウトを積み上げることはできなかったが、結果は7回1失点と仕事を果たした。今季のテーマに掲げながら、なかなか発揮できていなかった「粘り」が光った。

 崖っぷちに立たされても、チームの中心選手として周囲を見渡す視線を変えることはなかった。14日の巨人戦(東京ドーム)で藤浪が7失点を喫すると、その夜、食事に誘って若きエースの気持ちの切り替えに手を貸した。キャンプでも山本、金田ら10歳以上も歳の離れた後輩に助言を送る姿も目立った。

 オフに3年契約を結び、チーム内での「立ち位置」を考え直した。「そういうこともしていかないといけない年齢」と自身の経験を若手に伝える“伝道師”としての顔ものぞかせるプロ11年目。後のない状況で結果を出し、意地を見せた。

 チームを5割復帰に導き、きょう勝てば貯金は1。勝率で巨人を上回り、前半戦首位ターンを決める。背番号14が、景気づけの白星を手にした。

 「抑えていないから白星が付かなかった。こういうピッチングを続けていかないといけない」

 雌伏の時を経た能見が、白星街道を突き進む。(遠藤 礼)

続きを表示

2015年7月15日のニュース