“ミットが球を呼ぶ”伊東監督の捕球術 西野「吸い込まれていった」

[ 2014年2月10日 08:20 ]

ロッテ・伊東監督のミットをスローシャッターで撮影。ミットの親指部は静止したまま球をかぶせる動作が行われることがわかる。投手が「吸い込まれるようだ」という瞬間

 球史に残る名捕手の特別講座だった。ロッテ・伊東監督のミットに、西野が投げた力のある直球が吸い込まれるように収まる。わずか9球だったが、捕手陣に熟練のキャッチング術を実演した。

 ミットの動きはまるで綿をつかむかのように柔らかく、流れることは全くない。その極意は、球を受ける位置にある。オーソドックスな捕手よりも体に近い位置で捕球する。「俺と比べて伊東監督は20~30センチは体に近いポイントで受ける。あれが一流の証だよ」と中村バッテリーコーチ。決してミットを伸ばして球を捕りにいくことはしない。球を「呼び込む」という表現がぴったりで、西野は「ミットが球を呼んでいた。不思議なぐらい構えた場所に吸い込まれていった」と表現した。

 ブルペンでは大きなミット音を出してキャッチすることが良いと言われることもあるが、指揮官はドラフト2位・吉田(立正大)に「音は意識しないで、柔らかく包み込め」とアドバイスした。ミットを前に突き出し、投げてくる球と衝突させれば音は出る。しかし、肘が伸びた状態では想定外のコースや変化に対応できない。中村コーチも「どんな球でもきっちりと捕ってあげることが一番大事。音を出すことは二の次」と説明する。

 伊東監督はブルペンで投手陣だけでなく捕手陣も厳しくチェックする。「若い選手に技術を伝えたい」。現役時代、ゴールデングラブ賞を捕手では最多の11度受賞。生きる教材のいるロッテは捕手にとって最高の環境だ。

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