お宝“本塁打ボール”は球団が保管へ 松井コーチ130M弾含む5発 

[ 2014年2月10日 05:31 ]

現役選手が見つめる中、快音を響かせる松井臨時コーチ

 ついに打った!ゴジラが吠えた!巨人の宮崎キャンプで臨時コーチを務める松井秀喜氏(39)が9日、ランチ特打で打撃を実演した。22スイングで圧巻の5本の柵越え。右翼中段席への130メートル特大弾など、現役時代をほうふつさせる豪快なスイングを見せた。1年以上のブランクを全く感じさせない打撃に、桃井恒和球団社長(67)から現役復帰を「要請」される場面もあった。一日限りのゴジラ復活にみんなが酔いしれた。

 4スイング目だった。高く力強い弾道は、打った瞬間にスタンドインを確信させた。ホームランだ。松井臨時コーチは背後で見守る原監督ら首脳陣、選手に向け、右手を突き出してガッツポーズ。日米通算507本塁打のパワー健在ぶりに、日曜日で集まった今キャンプ最多となる3万7000人の観衆も熱狂した。

 「原監督から“若い選手たちに見せてほしい”と言われて。暖かかったので打ちました」

 午後0時55分。「松井コーチが打撃を行います。投手役は阿部選手が務めます」。場内アナウンスにスタンドが揺れた。松井コーチが上下黒のトレーニングウエア姿で登場。右翼中段席に届く130メートル特大弾も放ち、22スイングで5発の柵越え。「今の自分の打撃の中に何かヒントがあるかは分からない。何かあったことを祈るだけです」と振り返ったが、原監督も、選手も、誰もが圧巻のアーチに胸を躍らせた。

 10分足らずの特打を終えると、待ち受けた桃井球団社長に「契約しますか?」と得意のジョークを飛ばした。これには桃井球団社長も「現役でできるね。(選手登録の)枠は空いてますから」と最上のリップサービスで返した。松井コーチも「本当?きのうは打撃投手としての契約って話だったけど…。お互い冗談ですよ」。昨年7月にヤンキース傘下1Aスタテンアイランドで練習参加した際にも、フリー打撃で柵越えを放った。レイズを最後に12年12月に現役引退を表明して1年以上が経過するが、少しもサビついてはいなかった。

 直前には室内練習場を貸し切り、報道陣シャットアウトで玉峰打撃投手を相手に最後の仕上げを行った。「打つなら、万全の準備をしてから」と7日から極秘特訓に着手。日本ではヤンキース時代の04年3月30、31日の開幕シリーズ(東京ドーム)以来10年ぶりとなる「ゴジラスイング」を解禁した。柵越えした5個のボールは回収され、球団が保管するという。

 久しぶりの打撃に「あらためて感じるものは特にないですよ。やっぱり野球は素晴らしい、それだけです」と笑った松井コーチ。10年の時空を超えた。確かにこの日、この瞬間、サンマリン宮崎にはゴジラがいた。

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