ポスティング制度誕生きっかけは“伊良部問題”

[ 2013年12月25日 06:00 ]

ヤンキースのユニホームに袖を通す伊良部

 1996年オフに突然、メジャー挑戦を表明した伊良部秀輝。今回の田中将大(楽天)と同様に、当時FA権を取得していなかった伊良部の保有権は所属球団のロッテが持っていた。ロッテはサンディエゴ・パドレスの2選手と、その伊良部の保有権をトレード。しかし伊良部はパドレス入団を拒否し、代理人の団野村とともにニューヨーク・ヤンキース入りを画策。日米球界を巻き込む大騒動に発展した。この問題を契機に、日本から米国への選手移籍に関するルールが議論され、誕生したのがポスティング制度である。

 念願のヤンキース入りが叶った後の1997年には、ある試合でファンから大ブーイングを受け、スタンドに向かってツバを吐いた。この行為を見た米球界は「BIG CHILD」(大きな子ども)と痛烈批判。1999年には一塁へのベースカバーに遅れた伊良部に対し、ヤンキースのオーナー・スタインブレーナーが「太ったヒキガエル」と揶揄するなど、伊良部にはヒール(悪役)のイメージがついてまわった。

その後、メジャー2球団を経て2003年には日本球界に復帰。引退後は米国で事業を興したり、2009年には独立リーグで現役復帰するなど、破天荒な人生を歩んだ伊良部。ロサンゼルス近郊の自宅で遺体が発見されたのは2011年のことだった(享年42歳)。余りにも短すぎた生涯。今回の田中の移籍騒動に、伊良部秀輝は何を思うだろうか。(スマホマガジン『週刊野球太郎』編集部)

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