伊東監督 古巣への思い断ち切る1勝「きょうで黒い血に変わった」

[ 2013年10月15日 06:00 ]

<西・ロ>8回、角中の適時三塁打にガッツポーズの伊東監督

パ・リーグCSファーストステージ第3戦 ロッテ4―1西武

(10月14日 西武D)
 下克上アゲインへ、第1関門を突破した。ロッテは14日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(3試合制)第3戦で、西武を4―1で撃破。2勝1敗として、3年ぶりのファイナルステージ進出を決めた。鈴木大地内野手(24)が5回に先制ソロを放つと、井口資仁内野手(38)も6回に2号ソロ。短期決戦を知り尽くした伊東勤監督(51)の采配もさえた。3年ぶりの日本シリーズ進出を懸け、17日からはリーグ優勝の楽天と対戦する。

 古巣・西武を撃破してのファーストS突破。伊東監督は、我を忘れるほど興奮していた。

 「優勝したみたいな気持ち。(鈴木、井口の本塁打が出ると)知らないうちにベンチ前に出ていた。これまで“青い血から黒い血に変わるんだ”と言ってきたが、きょうで黒い血に変わった」

 現役時代は捕手として西武の黄金時代を支え、日本一に8度も輝いた。監督としても04年に日本一へと導いた。ドジャースのかつての名将トミー・ラソーダ監督は「俺の体にはドジャーブルーの血が流れている」と言った。伊東監督はこの勝利で、古巣への特別な思いを完全に断ち切った。

 ベンチではどこで勝負手を打つかを考えた。2点リードの6回、先発・唐川が突如崩れた。片岡の左中間二塁打と栗山の左前打で無死一、三塁のピンチを迎えると、取っておきのジョーカーを切った。「一番抑えられるのは内だと思った」。今季の唐川は168回を投げ85失点だが、イニング別では3巡目に当たる6回に最多の22失点を喫している。ここが分岐点と判断して内を投入した。

 開幕当初は右足故障などで2軍生活も、7月下旬に1軍昇格してからは防御率1・05。シーズン終盤には守護神も務めた男は、「ピンチになったら行くと言われていた」と異なる持ち場でも力を発揮した。140キロ台中盤の直球で浅村を右犠飛。続く秋山を二ゴロ併殺に仕留めて最少失点でしのいだ。「普段ならばやらない一手。ちょっと早かったね」と伊東監督。前日は20安打を浴びて15失点したが、接戦となったこの日は、短期決戦ならではの采配が的中した。

 8回1死一塁では岡田に二盗のサインを送った。「(4番手)涌井のクイックは甘い」と捕手・炭谷の二塁悪送球を誘い、今江の四球を挟んで角中の右中間三塁打を呼び込んだ。かつての愛弟子の弱点を突く巧妙なタクトも見せた。

 試合後の選手サロンでは、伊東監督が「一日でも長く野球をやろう」と声を張り上げ、ナインから拍手がわき起こった。就任1年目でチームをまとめ上げた伊東監督に、黒いユニホーム姿はよく似合う。

 ▽トミー・ラソーダ氏の名言 76年からドジャースの監督を務めたラソーダ氏は、監督としての手腕が認められるにつれ、他球団への移籍話が噂されたが「I bleed Dodger Blue」(俺の体にはドジャーブルーの血が流れている)と噂を一蹴。この名言通り、熱血的な指導でドジャース一筋、21シーズンにわたって指揮を執り、リーグ優勝4度、2度のワールドシリーズ制覇に導いた。

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