掛布氏 今秋キャンプは臨時打撃コーチ「協力したい」

[ 2013年10月15日 06:00 ]

5月の西武戦のイベントでユニホーム姿を披露した掛布氏

 使命は次代の「ミスタータイガース」育成だ。阪神がOBの掛布雅之氏(58)を高知・安芸で今月下旬から予定されている秋季キャンプに臨時打撃コーチとして招へいし、若手野手の育成強化を図ることが14日、分かった。球団は同氏に来春以降の“打撃アドバイザー”的なポストへの就任も要請し、2軍の若手野手を中心にアドバイスを求める方針。本塁打王を3度獲得したその手腕に、生え抜きのスター育成を託す。

 伝説の「ミスタータイガース」に託された使命は、今季リーグ最少の82本塁打に終わった貧打解消…などという短絡的なものではない。中長期的な視野に立って若手を鍛え、自らの後継者となる生え抜きの「4番」を育て上げること。つまり、新たな「ミスタータイガース」の育成だ。球団にとって、積年の課題である「至上命令」を達成するために、掛布氏は古巣へと帰ってくる。

 「まだ、何もお話しできることはありませんので。ただ、タイガースには愛着があるので、何か自分がお力になれることがあれば、協力したいという気持ちはあります」

 この日、取材に応じた掛布氏は具体的な言及こそ避けた。だが、球団首脳は「OBである彼の技術、知識、経験を、若手の育成に役立てたいということ」と期待を寄せ、別の球団首脳も「彼の野球理論、技術論を評価している」と招へい決断に至る経緯を口にした。近日中にも球団側と話し合いの場が持たれ、正式要請を受ける運びだ。

 球団が掛布氏に期待するのは「若手育成」。その手始めとして、まずは今月下旬にスタートする高知・安芸での秋季キャンプに、臨時打撃コーチとして招く。若手中心に行われる秋季キャンプで野手陣への打撃指導を託す。「臨時コーチ」としての立場からユニホームを着ることはないが、秋季キャンプには基本的に全日程で参加する予定となっている。

 加えて、来春以降の処遇に関しても、青写真は描かれている。球団側はすでに、「打撃アドバイザー」的なポストを用意する方針を固めている。基本的に、来春以降は2軍の指導に当たることになる予定だ。

 ミスタータイガースの臨時コーチ就任は正式決定ではないが、平田2軍監督は「掛布さんの打撃理論とか情熱は分かっているつもり。(今年も)解説や取材で来てもらったときに、若い選手を見てもらったりしていたから。きっかけをつかめば良くなる選手も多くいるので、見てほしい」と歓迎の姿勢を示した。

 今季、チームが後半戦に失速した要因の一つには若手野手の底上げ不足も挙がる。「若手育成」が、チーム成績にも直結する。伊藤隼、森田、一二三、中谷、西田…。次代の「ミスタータイガース」候補たるダイヤの原石たちに、3度本塁打王に輝いた生え抜きのスターが磨きを掛ける。

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2013年10月15日のニュース