上原 サヨナラ1勝 オルティス同点満弾に興奮「最高ですね。ホンマに」

[ 2013年10月15日 06:00 ]

<レッドソックス・タイガース>サヨナラ勝ちしオルティス(奥)と喜ぶレッドソックス・上原

ア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦 レッドソックス6―5タイガース

(10月13日 ボストン)
 レッドソックスの上原浩治投手(38)が13日(日本時間14日)、タイガース戦に5―5の9回から4番手で登板。3者凡退に抑え、その裏のサヨナラ勝利でポストシーズン初勝利を挙げた。日本選手では4人目。4点を追う8回には2死からデービッド・オルティス内野手(37)が同点満塁本塁打を放った。守護神と4番の活躍で5点差のビハインドをはね返し、1勝1敗とした。

 驚きの連続だった。8回2死満塁。オルティスの打球が飛び込んできた。上原が待機していた右中間のブルペンにだ。起死回生の同点満塁弾。打球だけではなかった。ハンターまで飛び込んできた。名手は後頭部を打って流血。上原は両手を掲げて手招きし手当てする人間を呼び寄せた。

 「本塁打も凄かったですけど、ハンターが危ない落ち方だったので、そっちの方が心配でした」。その時、ブルペンの電話が鳴った。出番は突然やってきた。わずか数分の準備。急いで肩をつくった。「それが逆に良かった」という。理由は「開き直れた。何も考えずにいけた。無心ですね」。9球中8球がストライク。持ち前の攻撃的な投球で3人を料理した。その裏のサヨナラ劇。絶叫した。仲間とハイタッチを交わした。最後は「勝利の儀式」。オルティスに担ぎ上げられた。

 「最高ですね。ホンマに。きょうの勝ちはむちゃくちゃ大きい」

 ポストシーズン初勝利。全てはオルティスのおかげだ。本拠地で連敗すれば、厳しい状況に追い込まれる。4番は言った。「何か流れを変えるものが欲しかった」。初球、「緩い球が来る」と狙ったチェンジアップを捉えた。敗色濃厚な試合をひと振りで激変させた。

 上原とオルティスは同じ1975年生まれ。誕生日は4月生まれの上原が7カ月早いが、チーム最年長同士である。互いを尊敬し、クラブハウスやグラウンドでふざけ合ってチームをもり立てる仲でもある。オルティスは「コージは間違いなく今年のうちの最高の投手。彼がいたから優勝できた」と信頼を寄せる。

 上原は決して逃げない。どんな相手でもストライクを投げ続ける。その姿勢にオルティスは敬服している。だからこそ、地区シリーズ第3戦でサヨナラ本塁打を浴びた際「違う星から来たわけではない」とかばった。同シリーズ突破を決めた第4戦で上原がセーブを挙げると、自分のことのように喜び、シャンパンファイトでは「うちのクローザーはどこだ?」と捜して、抱きかかえた。

 1勝1敗。余勢を駆って、敵地デトロイトに乗り込む。「全力投球するだけです」。上原は連投の疲れも感じさせず、短い言葉で自信を見せた。

 ≪11年斎藤以来4人目≫日本人投手のポストシーズン勝利は11年ブルワーズの斎藤以来4人目(7勝目)となった。他には07、08年レッドソックスの松坂、08年ドジャースの黒田が勝っており、最多は松坂の3勝。

 ≪同点満塁弾は史上3人目≫米スポーツ専門局ESPNによると、ポストシーズンの同点満塁弾は史上3人目。04年エンゼルスのV・ゲレロがレッドソックスとの地区シリーズ第3戦で放って以来だ。ちなみに、この試合は延長10回にレ軍のオルティスがサヨナラ2ラン。無傷の3連勝で同シリーズを突破した。

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