オレ、次はやるよ!不振の広島・松山 背中で決意語る

[ 2013年10月15日 06:00 ]

「オレ次はやるよ!」と書かれたTシャツを着て練習する松山

 クライマックスシリーズ(CS)初出場でファーストステージ(S)を突破した広島は14日、巨人とのファイナルSに備えて東京に移動した。到着後、第1戦先発予定の大竹寛投手(30)と一部野手が神宮室内練習場へ。野村謙二郎監督(47)も姿を見せ、レギュラーシーズン終盤から不調の松山竜平外野手(28)を「イジリ」と「熱血指導」で上昇軌道に乗せた。

 甲子園では「アンパーンチ」は出なかった。松山は阪神とのファーストS2試合で計6打数1安打。ともに3打席で代打を出された。第1戦こそ右前へ先制打したが、これも当たり自体はいまひとつ。5番スタメンの大役に応えたとは言い難く、移動後練習のメンバーに野村監督が指名したのも自然な流れだった。

 白いTシャツと太マジック。小道具が、くすぶるハートの導火線となった。胸に「じいちゃん、オレ終わったゼ」と大きく書き込まれたシャツを着て、松山がフリー打撃の打席に入る。お立ち台での決めゼリフ「じいちゃん、オレやったよ!」をもじったそれは、指揮官のアイデアだった。

 本来の形が崩れ、繰り返す打ち損じ。粘って相手投手に球数を投げさせることすらままならない。まさに「終わった」状態…。汚名をシャツに刻まれたとあっては、発奮しないわけにはいかなかった。そうしておいて、野村監督が繰り出した二の矢は、自ら打撃投手役を務めること。「久々にいいバッティングしてるな!」「いい感じ!」「じいちゃん、オレつかんだよ!」―。次々と激励の言葉をぶつけた。

 練習の途中、汗ばむTシャツの背中側に、指揮官の命を受けた比嘉球団広報の手で新たに文字が入った。「オレ、次はやるよ!」。期待のメッセージに他ならなかった。室内練習場のネットに次々と力強いライナーが突き刺さり出すと、野村監督は「終わっとくか?」と一度は声をかけた。「もう少しお願いします」と松山。そこから15分以上も打ち続け、打ち込みは約40分間に及んだ。

 「正直、楽しかった。状態が悪かったので、こういう機会を設けてもらってよかったです」

 アンパンマンのほおに赤みが戻った。「(調子が)上がってきてもらわないと困る」という将の言葉に、「期待に応えたい」と誓いも新た。甲子園で打線は、丸と菊池の出塁から梵、キラ、エルドレッドが打点を挙げる理想的な形で8点、7点と会心の数字を連ねた。その輪に加わりきれなかった背番号37が復調を遂げた時、打倒巨人が現実となる。

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