原巨人ついにM1 今季象徴“自己犠牲”坂本、ロペスが送りバント

[ 2013年9月20日 06:00 ]

<中・巨>マジックを1とし、ハイタッチをかわす巨人ナイン

セ・リーグ 巨人3-2中日

(9月19日 ナゴヤD)
 ついに王手。巨人・原辰徳監督(55)が、2年連続「9・21」に東京ドームで宙に舞う。巨人は19日、中日戦で阿部、村田、高橋由のクリーンアップがそろって適時打を放ち、3―2で勝利。2位阪神が広島に敗れ、優勝へのマジックナンバーが1になった。20日は両チームとも試合がなく、優勝決定は最短で21日。巨人が勝つか、阪神が敗れるか、両チーム引き分けの場合にリーグ2連覇が決まり、原監督の本拠地での胴上げが見られる。

 会見場に現れた原監督は笑顔を見せつつも、気持ちの高ぶりを抑え、努めて冷静に振る舞った。マジック1。あと1勝。足元を見つめながら走り続けて、ようやく歓喜のゴールテープを切る寸前まできた。

 「明確な数字が分かりやすいものとしてね。マジック1が、我々の前に出てきているわけですから。しっかり意識して戦うということです」

 勝てば、連覇に王手がかかる試合。ある意味、経験がものをいう試合で、3点全てを村田、阿部、高橋由の中軸で挙げ、1点差に迫られた終盤は山口、マシソン、西村の鉄壁の救援陣でリードを守り切った。3―2というスコア以上に強さを感じさせる白星だった。

 そして、今季の巨人の強さを象徴する攻撃は1点差に迫られた8回だ。無死一塁から坂本に送りバントのサイン。マドリガルの野選を誘い無死一、二塁となると、続くロペスにも犠打のサインを送った。1死二、三塁、さらに満塁と好機は広がった。結果的に得点にはつながらなかったが、終始一貫して主力選手にも出し続けた犠打のサインに、原監督は「当然だけど」と言ってのけた。

 「強いチームはどれだけ自己犠牲の気持ちを持った選手がいるか」。原監督のその言葉を体現するチーム一丸野球。指揮官は今季、趣味の読書で百田尚樹氏の「永遠の0(ゼロ)」「影法師」などを次々に読破。他人のために生きた人物を描いた作風を、自身のチーム作りと重ね合わせた。内海、坂本らも、指揮官の勧めで百田氏の著書を手にとった。最近では「倍返し」のセリフで大ヒットしたTVドラマ「半沢直樹」の原作である池井戸潤氏の著書「俺たちバブル入行組」も愛読している。「今度、生まれ変わったらサラリーマンになってみたい」と冗談めかすことがあったが、出世をめぐる人間模様に「やっぱり俺はサラリーマンは難しいかな」。腹芸はできない。力と力の勝負であるプロ野球の世界こそが、自身の本分だと決意を新たにした。

 昨年も9月19日の中日戦(ナゴヤドーム)でマジックを1とし、移動日を挟んで同21日に本拠地・東京ドームで歓喜の瞬間を迎えた。1年後、くしくも同じ日程で王手をかけた。「気を引き締めて東京ドームに戻りたい」。監督通算6度目のリーグ制覇の瞬間が、間もなく訪れる。

 ≪Vの条件≫巨人が優勝マジックを1とし、連覇に王手をかけた。21日は阪神がデーゲームでヤクルト戦、巨人がナイターで広島戦を戦う。先に阪神が敗れれば、巨人はその時点で優勝。阪神が引き分けた場合は巨人が勝つか引き分け、阪神が勝てば巨人が勝つことで優勝が決まる。

 ▽昨季の巨人リーグ優勝VTR 9月19日の2位・中日戦(ナゴヤドーム)で、1点を追う4回に阿部が右越えへ逆転3ランを放ち、3―2で競り勝ち、優勝へのマジックを3から1とした。20日は試合がなく、21日のヤクルト戦(東京ドーム)で、同点の6回に長野が勝ち越しの2点適時打を放ち、6―4で勝利。3年ぶり34度目のリーグ制覇を決めた。

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