ソフトＢ　一日で３位逆戻りも…プロ初先発の嘉弥真が力投

＜楽・ソ＞ソフトバンク先発の嘉弥真

パ・リーグ ソフトバンク２－３楽天

（9月19日 Ｋスタ宮城）
　手痛いサヨナラ負けでも明るい兆しは見つかった。プロ初先発のソフトバンク・嘉弥真が５回を４安打６奪三振２失点。最低限どころか十分過ぎる内容だった。

　「先発の役目はできた。細川さんのリード通り投げられた。あの一球だけだった…」

　左腕が悔やんだ「あの一球」は５回２死二、三塁で岡島に投じた１２９キロの内角スライダー。「決めにいこうとしてやられた」と、遊撃への適時内野安打となり先制点を許した。続く藤田にも右翼線に適時二塁打を浴び、この回２点を失った。

　だが、それまでは１００点に近いピッチングだった。ナックルボールのように親指と小指でボールを握り、不規則に沈むオリジナルの魔球「嘉弥真ボール」を駆使。左打者が６人並ぶ楽天打線を翻弄（ほんろう）した。３回までは無安打投球。４回１死一、三塁のピンチもマギーを三ゴロ併殺に仕留めた。

　２年目の今季、中継ぎで３１試合に投げ、防御率２・４１。安定した成績を残し、先発に抜てきされた。当初は８月２３日の西武戦（県営大宮）で先発予定だったが、無念の雨天中止。今季の先発マウンドは半ば諦めていたが、先発投手の駒不足から再びつかんだチャンスで実力を発揮した。

　試合は９回に五十嵐が打ち込まれ、首位・楽天相手にサヨナラ負け。一夜にして３位転落となったが「嘉弥真はいいピッチングをした」と秋山監督の表情に暗さはなかった。

　大隣、帆足、新垣らが故障や不調で不在。先発陣は火の車だ。高山投手コーチはこの日の嘉弥真を「ローテーション投手と比較しても十分やれる能力を証明した」と絶賛した。日本シリーズの出場権を懸けて争うであろう仙台で見せた好投。１メートル７１の小さな左腕が、クライマックスシリーズでの先発に一歩前進した。