新体制は王コミッショナー+補佐役?「No.2に実務的な方」

[ 2013年9月20日 06:00 ]

外出先から帰宅し集まった報道陣の質問に答えるソフトバンク・王球団会長

 加藤良三コミッショナー(72)は19日、都内でのオーナー会議で、統一球を今季から飛びやすく変更しながら公表していなかった問題の責任を取って辞意を表明した。日本シリーズ開幕前日の10月25日までには退任する。コミッショナーの任期は2年で、加藤氏は昨年7月に再任されて3期目に入っていた。任期途中の辞任は4人目となる。後任は未定だが、王貞治氏(73=ソフトバンク球団会長)を最有力候補に12球団の意見を集約し、10月上旬に臨時オーナー会議を開く。

 加藤コミッショナーの突然の辞任表明を受け、王コミッショナー擁立への動きが急加速するとみられる。王氏はこれまで「体力的に無理」と終始否定的な見解を示してきたが、この日都内の自宅前で取材に応じ「僕自身も何も聞いていない。仮定の話をしても(オファーが)来るのか来ないのかも分からない」と話した。

 この日のオーナー会議では具体名は出なかったが、セ・リーグのある球団幹部は「王貞治コミッショナーにして、その下に補佐を置くという構想を進めている」と明かした。新たなコミッショナーについてあくまで球界からの選任を主張するセに対し、パ・リーグは侍ジャパン事業などビジネス面を拡大できる実務に強い人物を希望してきた。しかし、この日のオーナー会議で、日本ハム・津田敏一臨時代理人(球団社長)は「トップが常勤で実務的な方か、トップができないならNo.2にしっかりと実務的な方が来る必要がある」と折衷案に言及した。

 統一球問題の発覚後、今年7月には巨人・渡辺恒雄球団会長(87)が「人格、識見、人柄。これ以上の人はいない。野球界が奇麗になるんじゃないか」と王氏を強く推薦。現在、コミッショナー特別顧問の肩書も持つ王氏。加藤コミッショナーの前任、根来泰周コミッショナーが約1年半「代行」を務めていた際から「王コミッショナー待望論」はあった。

 統一球問題に端を発するNPBに対する不信感は、今や野球ファン、球界全体に対するものに広がっている。それだけにDeNA・春田真球団オーナーが「ファン、野球界、世間を騒がせた状況を考えると、火中のクリを拾ってくれる方にならざるを得ない。そんなにたくさん具体名は浮かばない」と話し、改革のリーダーシップを取れる人物が望ましい。その意味で王氏が最高の適任者であることは疑いようがない。

 オーナー会議議長のオリックス・宮内義彦オーナーは「(後任選びは)10月25日が一つのデッドライン。待遇に柔軟性を持たせることも必要」と話した。コミッショナーの報酬は年2400万円といわれる。ソフトバンクの球団会長職を辞するに当たり、その差を埋める必要もある。時間はないが、王氏の擁立は球界を変えるというファンへのメッセージでもある。

  ▽コミッショナーの職務の代行 野球協約は第2章第7条(職務の代行)で、「コミッショナーが退任し、その後任者が決定されないときは、オーナー会議が代行機関を設置する」と定めている。

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2013年9月20日のニュース