山本監督 審判への抗議禁止!「我慢が国際大会では必要」

[ 2013年1月15日 06:00 ]

ナゴヤ市内のホテルで行われた壮行会のトークショーでWBCへの思いを語る山本監督(中央)と高代内野守備走塁コーチ(左)、与田投手コーチ(右)

 WBCで3連覇を目指す侍ジャパンの山本浩二監督(66)が14日、審判の判定に対し、無用な抗議を行わないよう選手に通達する方針を示した。名古屋市内のホテルで行われたWBC壮行会に出席。審判を敵に回すことは得策ではないとの考えを明かした。既に日本野球機構(NPB)を通じて、宮崎合宿中の練習試合に国際審判員の派遣を要請しており、準備に抜かりはない。

【メンバー 侍ジャパン日程 1次R組分け】

 何が起きるか分からないのが国際大会。微妙な審判の判定でも、試合の流れは変わる。北京五輪でもコーチを務めた山本監督は明確な指針を示した。

 「判定に対して抗議することはやらない方がいい。抗議に行って得することはまずない。はらわたが煮えくり返っても、我慢することが国際大会では必要だ。選手にも機会を見て伝えたい」

 WBCの審判団は、メジャーの審判を中心に大会出場国の国際審判員が務める予定。ストライクゾーンやボークの判断など基準はそれぞれで、メジャーには、ベンチから不満の声を上げただけで退場とする審判もいる。選手も国際大会で気持ちが入り、感情的になりやすい。全てを踏まえた上で指揮官は「審判も人間。一つの判定に執ように抗議をすると、さらに不利な状況が生まれる」とし、顔などに不満を表すことにも「しない方がいい」と語った。

 WBCの判定で思い出されるのは、06年の2次ラウンド米国戦。決勝点となるはずのタッチアップに対し、米国の抗議を受けたボブ・デービッドソン球審は三塁走者の離塁が早いとして判定を覆し、アウトとした。もちろん、勝敗を分ける重大な判定については自ら抗議に出る。「当然抗議にいかなきゃいけない状況や場面もある」。ただ、ストライク、ボールの判定などによる無用な感情のもつれは、選手の集中力にもかかわってくる。

 既に対策も講じている。NPBを通じて、宮崎合宿中の2月17日広島戦、同18日西武戦にも、国際審判員の派遣を要請している。ストライクゾーンの違いや、投手のけん制時のボークの線引きなど、技術的なチェックも行うとともに「どの国の審判になろうと、あらゆることを想定しないと」と心理的な面での心構えを徹底させる考えだ。

 山本監督は、15日に代表候補選手の自主トレ視察のため、グアムに向かう。主将に任命した巨人・阿部とは夕食をともにする予定だ。「宮崎合宿の時にいい形で入ってもらえるように、いろいろと話をする」。2月15日の合宿初日まで1カ月。細部への準備は始まっている。

 ◇日本の国際試合での抗議◇

 ☆04年アテネ五輪 予選リーグのオランダ戦で相手側がメンバー表に控え選手を未記入。長嶋監督に代わり指揮を執った中畑ヘッドコーチはオランダが選手交代を申し出た5回、規定に従って抗議用紙に抗議料200ドルを添えて大会技術委員へ提出。しかし23分間の中断の末、日本の訴えは却下された。

 ☆06年第1回WBC 2次ラウンドの米国戦、同点の8回1死満塁から岩村の左飛で三塁走者・西岡が生還。塁審はホームインを認めたが、米国・マルティネス監督の抗議を受けたデービッドソン球審が判定を覆してアウトの宣告。王監督の猛抗議=写真=も実らず、併殺で勝ち越し点は幻に。

 ☆08年北京五輪 1次リーグ・キューバ戦の9回、星野監督が里崎のハーフスイング(空振り三振)の判定に対して抗議。一度ベンチに戻りかけてから引き返して球審に選手交代を告げた。ところが2度目の抗議と勘違いされ退場の宣告を受けた。日本側は訂正を求め球審も退場を取り消すジェスチャーをしたことで、星野監督は指揮。しかし、試合後に球審は退場処分を取り消していないとし、2000ドルの罰金が科された。

続きを表示

2013年1月15日のニュース