「タイミング熱い」イチ、週間MVP御礼特大ツーベース

[ 2012年9月26日 06:00 ]

<ヤンキース・ツインズ>1回、2ランを放ったスウィシャー(左)を迎えるヤンキースのイチロー

ア・リーグ ヤンキース6―3ツインズ

(9月24日  ミネアポリス)
 ヤンキースのイチロー外野手(38)が24日(日本時間25日)、約2年ぶり4度目のア・リーグ週間MVP(9月17~23日)に選ばれた。同期間は6試合に出場し、25打数15安打で打率・600。安打量産でチームの勝利に貢献した。「2番・右翼」で先発したこの日のツインズ戦も、初回に「御礼打」となる右中間二塁打。連続試合安打を8に伸ばし、勝利を呼び込んだ。

 試合前、週間MVPが発表されると、イチローは素直に喜びを表した。「このタイミングは熱いですね。(自身4度目は)凄いね。毎週チャンスがあるのにね、(10回出場した)オールスターより難しいね」。ヤ軍移籍後初めてだからではない。オリオールズと優勝争いをする中での受賞が、イチローをいつも以上に冗舌にした。

 吉報はアドレナリンとなり、力へと変わる。無死一塁で回ってきた初回、いきなり右中間フェンス直撃の特大二塁打。中堅から右翼にかけてそびえる5メートル以上の高いフェンスの最上部に当たり本塁打にはならなかったが、受賞を祝う一打で先制の足場をつくった。

 右翼が狭い本拠地ヤンキースタジアムなら本塁打の打球。「確実ですよ。もう(ヤンキースタジアムなら本塁打で)歩いていますよ。ここはなかなか僕くらいの選手だと難しいよね、あの壁はね」と笑い、同僚たちが4本塁打したことには「でもみんなバコバコ打っているものね、凄いよね。簡単に越えていく」とあきれ顔で話した。

 この日は1安打だったものの、2打席目の中飛も芯で捉え、第3打席の遊直は相手の好捕に阻まれたもの。打撃内容は悪くない。好調をキープできているのは精神面の充実が大きい。優勝争いの充実感は有形無形の相乗効果を生み出している。

 ジョー・ジラルディ監督もそれを認める一人だ。「イチローはまだ野球をやりきっていない。勝てないタフなシーズンを過ごし、自分が年齢を重ねてくれば、自分自身に多くの疑問を抱くものだ。彼は勝つことに飢えている。ここでプレーすることがきっと楽しいのだと思う」。し烈な争いの中での緊張感が、イチローを再生させているとの持論を展開した。

 受賞を喜ぶ姿が何よりの証拠かもしれない。過去3度、週間MVPを受賞した時には「特に何もありません」(04年)や「事実だけを伝えておいてください」(10年)と感情を表に出すことはなかった。孤軍奮闘のマリナーズ時代では味わえない緊張感が、日々の活力に変わっている。

 週間MVP期間前からの連続試合安打は8試合に伸びた。残り9試合。イチローの安打量産は続く。

 ≪野茂&松井に並ぶ日本人最多4度目≫日本選手の受賞は昨年7月の松井秀喜(アスレチックス)以来。日本選手ではイチローを含めて過去5人に受賞歴があり、4度は野茂英雄(主にドジャース)松井秀喜と並び最多となった。他には松坂大輔(レッドソックス)と佐々木主浩(マリナーズ)が1度ずつ受賞している。

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